なぜ新大阪駅は再開発されるのか? リニア・北陸新幹線で「大阪ツートップ」を目指す! 60年目の大改造、「迷路」からの脱却なるか
大阪府市は、新大阪駅(大阪市淀川区)周辺の新しいまちづくり方針をまとめた。リニア中央新幹線の延伸などを見越して、駅周辺を抜本的に変える構想だ。これにより、新大阪の新都心化が始まる。
品川駅や名古屋駅に見劣り

新大阪駅周辺は東海道新幹線の開通に合わせて駅が開業した当時、周囲に田園地帯が広がっていた。本来なら新幹線を都心部の大阪駅に延伸させたいところだが、大阪駅は当時から混み合っていたうえ、将来の山陽新幹線整備を考えると遠回りになる。このため、大阪駅から近く、開発の余地が大きい新大阪駅が選ばれた。
大阪駅南側にあった繊維問屋街が1969(昭和44)年、新大阪駅北側に移転してきたのをはじめ、キーエンス、日清食品、ライフコーポレーションなど大企業の本社も徐々に集まって周辺が次第にビジネス街の様相を示してきた。しかし、線路だらけで歩行者動線が複雑な駅周辺は「迷路」と呼ばれ、新幹線を降りた乗客がくつろげる場所がそれほど多くない。
民間の日本プロジェクト産業協議会関西委員会は2018年、リニア中央新幹線が通る予定の品川駅(東京都港区)や名古屋駅(名古屋市中村区)に比べ、新大阪駅が都市機能や交通インフラで見劣りするとして、駅周辺の再開発を求める提言を国交省近畿地方整備局長に提出している。
西日本の巨大ターミナルを見ると、大阪駅、名古屋駅、京都駅(京都市下京区)とも開設当時、街外れに位置したが、運行路線の充実や駅周辺の開発で都心部といえる姿に進化した。新大阪駅も開業から60年余が経過してようやく進化のときを迎えようとしているように見える。大阪府市でつくる大阪都市計画局拠点開発室は
「新方針に基づき、官民の力を結集したい」
と意気込みを語った。リニア中央新幹線や北陸新幹線が乗り入れるころには、淀川をはさんだ新大阪駅と大阪駅がツートップとなって関西をけん引することを期待している。