中国には「幽霊空港」が存在した! 異常事態… 365空港、日本とも共通する無駄なインフラの背景と末路とは

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中国の急速なインフラ整備が引き起こした「幽霊空港」問題。365の空港のうち、利用者が極端に少ない空港が増加し、過剰な施設整備が地方経済に及ぼす影響が顕在化。規制と政府の過度な振興策が、航空業界に新たな課題を突きつけている。

934空港計画の裏に潜む課題

 この幽霊空港が作られた背景には、日本と同様、地元振興への過度な熱意がある。中国では2000年代から2010年代にかけて、中央政府が地方インフラ整備を進めることになった。これにより、中小都市への空港建設には補助金制度が設けられた。各地方政府は地域経済を振興するため、政府の予想を超えるスピードで空港整備を進めた。

 2016年には、上海市、チベット自治区、吉林省を除くすべての省・自治区が新たな空港建設を計画し、その数は934に達した。一方、中央政府の計画は500にとどまっていた。この数値から、地方自治体がいかに過剰に空港誘致に熱心だったかがわかる。こうして自治体の経済振興のために空港が建設され、人口が少ない地域にも空港が作られた結果、誰も利用しない「幽霊空港」が増えていった。

 また、地方政府が競い合うように空港を整備するなかで、単に数を増やすだけでなく、滑走路やターミナルなどの設備も豪華で大規模になった。そのため、高コスト体質が生まれた。そして、収支問題については中国共産党政府も2010年代に懸念を示していた。2014年、航空局のトップは

「全国で200以上ある空港のうち、黒字となっているのは50に過ぎない」
「小規模な空港についてはうまく利用されていない」
「情熱を持って空港を作ったが、包括的な計画が不足している」

と批判している。

 この時点で空港建設に対する政府の懸念が強かったことは明らかだが、残念ながらその批判は地方に届かず、空港建設ラッシュは続いた。地方は過剰投資の影響を受けやすい。日本でもゴルフ場やリゾートホテルの建設ラッシュと同じような現象が見られた。こちらも日本の経験と重なる部分が多いだろう。

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