荷物の置き場に難儀? 京成電鉄「貨客混載」実験から見えた課題と可能性とは
2020年以降、農産物などを旅客列車に載せて輸送する「貨客混載」が全国的に広がっている。京成電鉄の実証実験を取材した筆者の感想とは。
途中駅からの積み込みに課題
関東の大手私鉄の貨客混載は、東武鉄道や西武鉄道で実績があり、いずれも始発駅で農産物を載せ、終着駅で降ろす。
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以前、東武鉄道の「TABETEレスキュー直売所」を取材した際は、先頭車(10号車)の乗務員室後ろをオリコン(折り畳み式のコンテナ)のスペースに充てており、1番前の乗降用ドアは原則乗降不可としていた。
今回の京成電鉄は途中駅から農産物を載せるため、スペースを確保できる保証がない。実際乗った際も“スペース探し”に苦慮しているように見えた。これが一番の課題といえる。
仮に本格運用を行う際、所定の列車に乗り遅れると京成友膳の営業に影響を及ぼす恐れがある。事前に乗車率などのデータを把握し、比較的すいている列車、すいている車両が選択できるようにしたり、京成佐倉で快速特急京成成田行きに道を譲る快速成田空港行きで運搬したりするなど、検討の余地がある。運搬を見る限り、乗務員室に預かってもらうのも一考だろう。
また、本格運用が決まった際はすみやかに有人改札を通れるよう配慮してほしい。これだけでも運搬の負担が減るものだ。
貨客混載が軌道に乗れば、スカイライナーによる新たな運搬も考えられる。国際空港という“地の利”を生かし、海外からイキのいい食材などを京成上野駅の特設会場、もしくは付近のデパートなどで直送販売することで、“日本で海外を味わう”機会が創出できるだろう。新しいサービスの可能性に期待したい。