「荷主強すぎ」「安請け合いしすぎ」 物流危機2025! 悪循環を断つには? なぜ荷主・運送会社双方に問題があるのか

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物流業界は現在、深刻な転換期を迎えている。ドライバー不足や燃料費高騰、2024年問題などが業界を直撃し、2025年2月の道路貨物運送業者倒産件数は20件に達するなど、深刻な影響が広がっている。荷主と運送会社の関係性改革が求められる今、コストの適正化と信頼に基づくパートナーシップの構築が急務だ。

荷主の問題

物流トラック(画像:写真AC)
物流トラック(画像:写真AC)

 物流業界における荷主の多くは、物流の専門家ではない。特に企業の物流担当者は

「営業には向かないから購買・調達部門に回された」

というケースがある。営業は自社の商品やサービスを売る役割を担うが、購買の主な目的はコストの削減だ。この違いが物流業界に特有の力学を生んでいる。

 物流担当者が必ずしも原価計算や適正価格を理解しているわけではない。特に中小企業では、物流に関する社内教育が十分でない場合が多く、運送会社のコスト構造を把握していないことが目立つ。そのため、

「安い = 正義」

という誤解や

「どの会社に頼んでも同じ」

という認識が広まり、運賃交渉が一方的になりがちだ。価格交渉の場で「以前の価格より高いのはなぜか?」という問いがよく飛び交うが、その背景には

・燃料費
・人件費
・車両維持費

などのコスト上昇がある。しかし、物流担当者がこれらの要因を正しく理解していなければ、それを単なる「運送会社の値上げ」として捉え、反発を招くことになる。

 さらに、購買担当者には「支払う側が強い」という意識が無意識に働くことがある。発注権限を持つことで優位に立っていると感じ、「お客様は神様」といった意識が出ることもある。

 これは物流が「BtoB(企業間取引)」であることにも影響している。消費者向けのB to C取引ではカスタマーハラスメントが問題視されるようになってきたが、物流業界では荷主の強い立場が依然として根強く残っている。

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