EVの「理想モデル」はこれだ! 4ドア、5人乗り、2列シート…大きさはBz4Xに酷似? しかし売れ筋にはならないワケ

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EV市場における理想のモデル「ザ・ゼニス」を基に、日本の自動車メーカーが直面する課題を浮き彫りにする。テスラ・モデルYに近いミッドサイズ・クロスオーバーで、人気の要素を反映したとされるザ・ゼニスだが、実際の購買動機には車両価格や航続距離が大きく影響することが明らかだ。今後のEV戦略が勝敗を分ける鍵となる。

欠落する要素

トヨタ・Bz4X(画像:トヨタ自動車)
トヨタ・Bz4X(画像:トヨタ自動車)

 ザ・ゼニスはエクステリアを中心とした膨大なデータから導き出されたが、そのため実際の購買動機が十分に反映されていない。例えば、消費者が最も関心を持つ車両価格については触れられておらず、1回の充電で走行できる航続距離についても言及がない。

 ザ・ゼニスに近いトヨタのEVモデル「Bz4X」を例に、EVの購買動機における車両価格や航続距離の重要性を検証する。Bz4Xのボディサイズは全長4690mm、全幅1860mm、全高1650mm、ホイールベース2850mmで、ザ・ゼニスとほぼ同じだ。

 しかし、Bz4Xが売れ筋モデルであるかというと、現実はそうではない。Bz4Xの航続距離は1回の充電で約400kmであり、消費者が求める最低ラインの480kmには達していない。また、急速充電においても150kWの対応にとどまり、他のEVよりも充電時間が長くなるという指摘がある。さらに、車両価格についても、Bz4Xのベースモデルは3万7070ドル(約560万円)だが、過去1年間で14%もの値下げが行われた。

 これらの要素から、車両価格や航続距離が購買動機に与える影響の大きさは、Bz4Xの販売不振によって明らかである。ザ・ゼニスに近いモデルが必ずしも売れ筋となるわけではないということがわかる。

 また、ザ・ゼニスに近い日本車のミッドサイズクロスオーバーEVとしては、ホンダが開発中の「Honda 0 SUV」や、トヨタとスズキが共同開発した「トヨタ・アーバンクルーザー」および「スズキ・eビターラ」などがあるが、これらが今後売れ筋モデルになるかどうかは、単にザ・ゼニスに近いという点だけでは予測できない。

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