クルマに「マタニティマーク」が必要な理由! 認知度85%超でも見過ごせない「妊婦ドライバー」のリスクとは?
妊婦の安全運転を支援する自動車用マタニティマークが広がりを見せている。政府や企業が協力し、妊婦への配慮を促進。近年、認知度は85%を超え、社会全体で妊産婦の安全を守る意識が高まっている。
自動車用マタニティマークの意味

自動車用マタニティマークは、周囲のドライバーに妊婦が乗車していることを知らせることを目的としている。このマークは、後続車に対して
「スピードは出せないのでお先にどうぞ」
「車間を十分に取ってください」
「事故に遭った際には妊婦であることを伝えてください」
などのメッセージを送る役割を果たしている。
妊婦は体調が不安定になることが多く、運転中や同乗中には体に負担をかけないよう配慮が必要だ。そのため、自動車用マタニティマークは後続車に対して、妊婦が乗っていることを知らせ、適切な配慮を求めるために使われる。
日本交通科学学会会誌に掲載された「つわりと自動車運転―妊婦運転者に対する実態調査」の論文によると、日常的に自動車を運転する妊婦696人を対象に行った調査で、妊婦の自動車事故やヒヤリハット(重大な事故に直結する一歩手前の出来事)経験率が示されている。その結果、妊婦自身の
・事故経験率:2.9%、
・ヒヤリハット経験率:7.8%
だった。さらに、妊婦自身が原因となって起こした事故やヒヤリハットの経験率は4.6%で、その原因としては「ぼーっとしていた」ことが挙げられており、妊娠前期では67.9%、妊娠後期では87.5%に達している。
また、「つわりによる気分不快」が原因として挙げられ、妊娠前期では46.4%、妊娠後期では12.5%の割合となっている。これらのデータから、妊婦の体調不良が自動車運転においてトラブルを引き起こすことが少なくないことが明らかになっている。