クルマに「マタニティマーク」が必要な理由! 認知度85%超でも見過ごせない「妊婦ドライバー」のリスクとは?
マタニティマークの認知率は8割超え

東京成徳短期大学の寺田清美氏と田中浩二氏による論文「マタニティマークの認知度及び意識の変化に関する研究」では、妊娠初期の妊婦が外見からは妊娠していることがわかりづらいため、交通機関での優先席の確保や受動喫煙の防止に関して、周囲からの理解を得にくい傾向があると指摘されている。
そのため、母子健康分野の国民運動計画「健やか親子21」の一環として、2006(平成18)年に全国共通の「マタニティマーク」が考案された。このマークの役割は、まず妊産婦が交通機関を利用する際に身につけることで、
・周囲の人々が配慮を示しやすくする
・緊急時には妊婦であることを知らせやすくする
ことが含まれている。さらに、交通機関や職場、飲食店、公共機関などでポスターとして使用され、妊産婦に優しい環境づくりを支援していることをアピールする目的もある。
マタニティマークには「思いやりのある行動お願いします」といった記載があり、妊産婦に対する気づかいや優しい環境づくりが求められている。そのため、周囲の人々もこのマークを知っておくことが重要である。しかし、実際にどの程度認知されているのかは気になるところだ。
2014年、内閣府が実施した「母子健康に関する世論調査」において、マタニティマークを知っていると答えた人の割合は53.6%だった。しかし、2023年10月にわかもと製薬(東京都中央区)が実施した「電車の優先席の利用状況や、マタニティマークに関するアンケート」では、1949人中
「85.0%」
がマタニティマークを知っていると回答した。この結果から、マタニティマークの認知度は大きく向上していることがわかる。
現在では、マタニティマークは広く認知されているが、これまでは主にバッグに取り付けるキーホルダータイプのものが一般的だった。しかし最近では、
「自動車用マタニティマーク」
が登場し、これを配布する企業や団体も現れている。では、車両に取り付けるこのマークにはどのような意味があるのだろうか。