内田社長退任後、日産はどう動くのか? 「ルノー・吉利連合」vs「ホンダ・鴻海・テスラ」…提携戦略の最終戦を考える

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日産自動車は内田誠社長の退任に向けた調整を進め、今後の戦略に注目が集まる。ルノーとの提携強化や中国の吉利汽車との協力を背景に、日産はEV市場での競争力を維持できるか。日産の未来は、ポスト内田体制での革新と提携戦略にかかっている。

日産が取り得るシナリオ整理

日産自動車のロゴマーク(画像:EPA=時事)
日産自動車のロゴマーク(画像:EPA=時事)

 日産の今後の戦略において、提携先はルノーや吉利に限られるわけではない。新たなパートナーシップを模索するなかで、台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)やEV新興企業との協力、さらにはホンダとの再交渉といった選択肢が浮上している。

 鴻海との提携の可能性は依然として残っており、EV生産において強力な製造パートナーとなる可能性がある。鴻海は、日産との協業を進めることで、EV生産に特化した新たな事業モデルを展開し、世界的なサプライチェーンを活用できる。

 フィナンシャルタイムズによる報道によれば、日産の提携交渉にも注目が集まっている。ルノーが意図的に情報を流している可能性もあるが、2月18日に報じられたところによると、日産の内田社長が退任すればホンダが経営統合交渉を再開する意向があるとのことだ。さらに、2月21日には菅元首相を含むグループがテスラによる日産への出資計画を策定したとの報道もあったが、菅氏はその計画への関与を完全に否定している。

 内田社長の退任後、日産とホンダの提携交渉が再浮上する可能性がある。日経ビジネスによれば、日産関係者は「完全子会社かどうかは分からないが、ホンダの出資を受け入れる方向で協議が進むだろう」と語り、さらに鴻海や三菱自動車を加えた4社での協業も視野に入れていると報じている。両社は2024年8月に締結した覚書に基づき、EV分野での協業検討を続けており、電動化の進展において共通の戦略を打ち出せるかが今後の焦点となる。

 また、日産はその他のパートナーを模索する動きも予想される。特に、バッテリー技術や自動運転技術を持つEV新興メーカーやスタートアップとの連携が、日産の競争力を強化する重要な要素となる可能性がある。

 日産が今後も技術革新を続けるためには、単独での戦略推進だけではなく、これまでのルノーとのアライアンスをさらに強化し、急速に変化する市場環境に柔軟に対応することが求められる。

 ダイヤモンドオンラインによると、日産は3月6日に開催予定の指名委員会で、内田社長の解職および後任人事について議論する予定だ。ポスト内田体制が現実味を帯びるなかで、今後の日産の動向には注目が集まる。

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