なぜ「バスターミナル」は廃れるのか? 昭和の遺物は過去のもの! 買い物、通院、行政…地域住民の「あったらいいな」を叶える、次世代ターミナルを考える
買い物機能を備えた次世代バス拠点

最近のバスターミナルや折り返し場におけるイノベーションの事例を紹介する。
福井県坂井市の丸岡バスターミナル交流センターでは、交通結節点としての機能だけでなく、地域のにぎわいを生み出す拠点としての役割を果たしている。丸岡城の玄関口でもあるこの施設は、木造瓦葺の2階建てで、1階には飲食スペース、待合ギャラリー、キッズスペース、バス待合室、事務所がある。2階には多目的ルームが設けられ、屋外にはマルシェや朝市にも活用できる「にぎわい広場」と「にぎわい回廊」を備えている。これらのスペースは、市長の許可を得れば利用でき、多目的ルームや待合ギャラリーも貸し出しが可能だ。利用料は多目的ルームが1時間200円、にぎわい回廊の物販スペースが1区画1時間400円となっている。
定期的に物販スペースが活用されれば、バスターミナルでの買い物が日常化する可能性がある。仮に1日5時間、20日間利用した場合、にぎわい回廊のスペース使用料は4万円となり、一般的な店舗を借りるよりもコストを抑えられる。多目的ルームなら同条件で2万円に収まる。バス事業者がバスターミナル内で物販を展開し、買い物支援と地域貢献を両立しながら収益を確保する方法も考えられる。さらに、バスで往復して買い物をした利用者に対し、運賃の一部を割引くインセンティブを設けることも可能だ。
一方、小田急バスは、東京都調布市の「晃華学園東」バス折り返し場を活用し、新たな複合施設「meedo(みいど)」を今春開設する予定だ。バスターミナルの規模ではないものの、「なりわい暮らし」を実現する場として、住居と商業が共存する形をとる。三鷹駅からの路線バスが発着する閑静な住宅地に位置し、店舗兼用住宅、土間付き住宅、シェア店舗、井戸のある広場、バス待合所などで構成される。
この地域は、国分寺崖線から湧き出る豊かな水が魅力で、住宅地としての人気も高い。小田急バスの公表資料によれば、1階部分に広い土間を設けた店舗兼用住宅では、カフェや飲食店、地場産野菜の販売などを想定している。さらに、入居者や近隣住民が活用できるシェア店舗の設置も予定されている。加えて、カーシェアリングやシェアサイクルの拠点としての機能も備える。
バス折り返し場に買い物機能や地域交流の要素を加えるこの計画は、地域コミュニティーの形成を促す点で注目に値する。日常の移動のなかで、バスを利用したちょっとした買い物や交流の機会が生まれることが期待される。
なお、小田急バスは「meedo」に先駆けて、武蔵野市桜堤にあるバスターミナルを地域交流拠点「hocco」として開発し、高い評価を得ている。バスターミナルに店舗併用の賃貸住宅を組み合わせることで、地域コミュニティーの活性化に成功した。このような取り組みを重ねることで、バスターミナルの新たな可能性が広がっている。