琵琶湖の「この場所」に、なぜ橋を作らないのか?

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琵琶湖大橋の開通から60年、湖西地域の発展を支えた交通インフラとしての役割は顕著だ。しかし、今なお新たな架橋計画は進まず、現行インフラで十分とされる背景にはどのような理由があるのか。湖の水運から近代交通網まで、地域発展の裏側に迫る。

琵琶湖大橋の通行量急増と料金変化

琵琶湖(画像:写真AC)
琵琶湖(画像:写真AC)

 1962(昭和37)年に着工した工事は、東京オリンピックに間に合うよう急ピッチで進められ、1964年9月に開通した。開通後の効果は目覚ましく、当初1日あたり2000台だった通行量は、右肩上がりに増加。最新の2022年の統計では年間総数1329万5275台(1日平均約3万6425台)に達している。

 この驚異的な増加を受けて、1994(平成6)年には新たな橋を建設し、4車線化が実施された。潤沢な通行料収入により、当初2021年までとされていた料金徴収期限を待たずに無料化も可能な状況となった。しかし、滋賀県は橋の安全対策や維持管理を考慮し、2016年から料金を大幅に値下げした上で有料化を継続している。

 通行料金の変化は次のとおりである。

●開通時の料金
・観光バス:700円
・路線バス:500円
・普通自動車:300円
・小型自動車:200円
・自転車:20円
・歩行者:10円

●現在の料金(現金)
・普通車(普通車・中型):137円
・大型I(大型車):182円
・大型II(特大車):455円
・軽自動車等:91円
・原付(軽車両等):10円
(現在、自転車・歩行者は無料)

 この料金表を比較すると、興味深い事実が浮かび上がる。車種区分が変わったものの、1964年の開通当初よりも現在の方が実質的に安くなっている。開通から約60年が経過し、日本の物価が数倍に上昇したにもかかわらず、通行料金が下がるというのは極めて珍しい現象だ。

 これは琵琶湖大橋がどれほど多くの人々に利用され、社会的・経済的に重要な役割を果たしてきたかを如実に物語っている。

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