飛行機と鳥が衝突「バードストライク」の脅威! 年間1500件も発生、そもそもなぜ衝突するのか?
航空機事故のリスクを高めるバードストライク。2023年には日本で1499件の衝突が発生し、その約4割が夜間に起きている。衝突による損傷はエンジンやノーズが多く、航空業界では新技術を活用した対策強化が急務だ。
「魔の11分」で起こる衝突リスク

2009年、USエアウェイズのエアバス機がニューヨークのハドソン川に不時着し、155人全員が生還した「ハドソン川の奇跡」でも、両エンジンにバードストライクが発生していた。
バードストライクは飛行機事故の原因となり得るが、飛行禁止区域を設けても、鳥にそれを徹底させる手段は現時点で存在しない。この問題に対する解決策を模索するため、日本におけるバードストライクのデータを見てみよう。
国土交通省のデータによると、2023年の鳥との衝突件数は1499件で、ニアミスは943件に達した。最も多いのはスズメなどの小型鳥だが、中型や大型の鳥との衝突も発生している。衝突件数は、着陸滑走で411件と最も多く、不明が334件、離陸滑走が321件、進入中が307件と続く。損傷件数は、進入中が21件で最も多く、離陸滑走が13件となっている。
衝突が発生する高度は0フィートが圧倒的に多い。つまり、地上に近いほど鳥との衝突リスクが高いことが分かる。バードストライクは低高度で機体速度が遅い時に発生しやすく、航空業界では離陸後の3分と着陸前の8分を「魔の11分」と呼んでいる。このデータはその危険性を裏付けている。
バードストライクが頻繁に発生する空港では、バードパトロールが実施されている。鳥を追い払ったり、パイロットへの注意喚起を行うことはできるが、鳥との衝突を完全に防ぐ方法は確立されていない。