かつては一世風靡も 「大型ジェット機」が引退を余儀なくされているワケ
ボーイング社は2022年内に、B747の生産を終える。経済効率の悪さや気候変動対策の必要性など、さまざまな理由により引退を余儀なくされている。
経済性を考えると時代遅れに

B747を引退させた理由として、各社とも経済効率の悪さを挙げている。新型コロナウイルスにより需要が低迷し、かつ燃料価格が高騰している状況下において、燃費の悪い大型の機体を持て余していたのである。
燃料費の削減は、航空会社にとってコスト構造を見直す上で重要なファクターである。ANAホールディングスの決算資料によると、B747-400を燃費の優れた新しいタイプの大型機であるB777-300ERに置き換えることで、成田~ニューヨーク線1運行便あたり24%の燃料消費量が削減できるとのことである。
エアバス社のA380は比較的新しい機体であり、燃費は改善されている。しかし、500席を超える超大型機であることから、現時点での需要に対しての過剰スペック感は否めず、かつほかのワイドボディー機に比べて特段燃費が優れているわけではない。
経営環境が厳しくなるなか、航空会社による機材のダウンサイジングと省燃費機材の導入はさらに加速するであろう。
ANAホールディングスは2014年3月に、日本航空は2011年10月に、B747の運用を終えている。日本の航空会社は、海外と比較して早い時期にB747に見切りをつけていたのだ。
A380については、現在ANAホールディングスが3機保有している。そのうち3機目の機体は、2021年10月に納入された。A380の3機は、成田~ホノルル専用機としてユニークな塗装が施されているものの、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い運行を停止している。