「プラグインハイブリッド車 = EVへの繋ぎ役」という甘い罠! BYDのPHV攻勢が露呈させる日本勢のEVシフト遅れとその危機
日本勢は「PHVはEVへのつなぎ役」という認識に固執するが、BYDの戦略はその常識を覆す。EVシフトを遅らせるリスクを抱える日本メーカーに迫る、危機的な選択の時が来ている。
PHV主流化で電動化競争から脱落

世界ではEV市場の成長が鈍化している。その理由は主に三つだ。
まず、バッテリーコストの下落ペースが鈍化している。EVの普及にはバッテリーコストの低下が不可欠だが、原材料価格が高止まりし、技術革新の進展も予想より遅れている。
次に、充電インフラの整備が遅れている。欧州や中国では急速充電網が整備されつつあるが、米国や日本では依然として充電環境が十分でないと指摘されている。
さらに、消費者のEVに対する不安が解消されていない。充電時間の長さや航続距離の制約が完全には解消されておらず、ガソリン車と同等の利便性を求める消費者のニーズに応えきれていない。
こうした状況で、EVよりも価格が安く、航続距離が長いPHVが「現実的な選択肢」として浮上するのは当然の流れだ。
しかし、これは本当に望ましいことなのだろうか。
PHVが主流になれば、EV化はさらに遅れるだろう。バッテリー技術の進化が遅れ、充電インフラ整備のインセンティブも弱まる。短期的にはPHVの成功が「合理的な選択」に見えるかもしれないが、長期的には日本の自動車産業が世界の電動化競争から取り残されるリスクを抱えている。