ホンダとソニーが提携 異業種の「越境事業」は社員のキャリア形成に役立つのか

キーワード :
, , ,
ホンダとソニーが提携すると報じられた。自動車メーカーと電機メーカーの雄を結びつけたのは、電気自動車という新しい事業分野。異業種間の越境は、働き手のキャリア形成に新たな選択肢をもたらすかもしれない。

社員が注意すべきふたつのポイント

現代の会社員イメージ(画像:写真AC)
現代の会社員イメージ(画像:写真AC)

 ただし、異業種間の越境にはポジティブな側面ばかりではなく落とし穴もある。

 メンバーシップ型雇用(被雇用者に業務を割り当てるシステム)で強い人事権を持つ日本企業では、社員を強制的に配属することができる。そのため、今後も自動車作りに携わりたいと考えていた社員が電機製品作りに携わらなければならなくなるなど、社員にとって望まざる越境も起こりうる。そんなネガティブな側面があることも踏まえて、異業種間の越境と向き合う際に社員側が注意しておくべきポイントをふたつ挙げておきたい。

 ひとつは「自律的にキャリア形成に取り組む」ことだ。これまで日本企業では、会社の異動指示に沿ってジョブローテーションさせながら、他律的に社員のキャリアを形成してきた。その延長線上で異業種間の越境機会が生じると、社員は望まざる越境に振り回されてしまうことになりかねない。しかし、社員が自ら主体となってキャリア形成する視点に立てば、望まざる越境であったとしても、思い描くキャリアの実現に生かせる要素に目が向きやすくなる。

 例えば、自動車作りに携わりたいと考えていた社員が電機製品作りに携わることになったとしても、製品開発手法やユーザビリティの考え方など、異業種の文化に触れることで得られる経験が、自動車作りに戻った際に生かせるかもしれない。逆に生かせる要素が見つけられないとしたら、社外に目を向けて一本道のキャリアから抜け出す必要があると認識できる。自分がキャリア形成の主体となり、思い描くキャリアの実現のために行う転職は、決してネガティブなものではなく理想の姿に近づくためのチャンスとなる。

 もうひとつのポイントは「社会の変化にあらがわない」ことだ。かつて産業革命以降、移動手段が馬車から自動車へと替わっていったように、技術革新のような大きな波は個人の意思を超越して社会の姿を一変させる力を持つ。社会の変化にあらがったところで、時代から取り残されてしまうだけだ。自動車産業におけるCASEなども、社会の姿を変える大きな波となりうる。そんな波の中で生じる異業種間の越境機会であれば、たとえその越境を望まなかったとしても、波に乗ることを優先する柔軟さを持つことが肝要だ。その柔軟さが、自身のキャリアに新たな可能性をもたらしてくれる。

 新しい事業による異業種間の越境以外にも、グローバリゼーションや地方創生など物理的距離の越境や官民交流といった立ち位置の越境など、多種多様な越境機会がこれからさらに広がっていくことが想定される。越境機会とうまく向き合えば、その数がそっくりそのまま、キャリア形成の選択肢を増やすチャンスの数になりうるのだ。

全てのコメントを見る