自転車まるごと「サイクルトレイン」 年々増加も、事業を阻む「四つの問題点」
自転車をたたまずに電車へ持ち込める「サイクルトレイン」が全国で人気だ。首都圏の鉄道で初めて導入したのは西武鉄道。今後の需要拡大に向けて何が必要なのか。
サービス拡大への課題
一方、十分に需要に応えているとは言い難い側面もある。
熊本電鉄や養老鉄道などは既に生活路線でサイクルトレインを導入しているが、いずれも利用時間帯はオフピークに限られている。言うまでもなく、利便性が高まるのはピーク時だが、その需要に応えるのは甚だ困難なのだ。
大都市圏は常に混雑している。ピーク時の持ち込みはさらに難しいだろう。それでもオフピークの午前9時以降の需要は多いだろう。大都市圏ではシェアサイクルが普及しているが、台数やポート(駐輪場)の設置具合に偏りがある。またシェアサイクル自体、急速な需要の増加に追いつかず、車両不足が指摘されている。
大都市圏のサイクルトレインはこの点において、シェアサイクルより利便性の高い交通手段になれる可能性がある。各社はサイクルトレインをどこまでサービス拡大できるのか――いち早い実験が求められている。