「コロナで車内ガラガラ」 存続危機の特急りょうもうを復活させる、起爆剤の正体

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東武鉄道の特急「りょうもう」求心力が低下している。3月12日のダイヤ改正は吉と出るか凶と出るか――注目が集まっている。

高速バスや湘南新宿ラインの台頭が影響

バスタ新宿(画像:写真AC)
バスタ新宿(画像:写真AC)

 特急りょうもう衰退の背景として考えられるのは、長引く不況だ。このほか、安く移動できるJRバス関東の高速バス、JR東日本湘南新宿ラインの台頭も大きい。

 さて、JRバス関東について例をふたつ挙げよう。

 まず、バスタ新宿~伊勢崎駅~伊勢崎オートレース場間の運賃1680円で、バスタ新宿~伊勢崎駅間の所要時間は約2時間10分。東武の浅草~伊勢崎間はきっぷ運賃1220円、特急料金1050円(特急リバティりょうもうは1250円)で計2270円(特急リバティりょうもうは計2470円)、所要時間は約1時間50分から2時間である。

 次に東京駅・バスタ新宿~佐野新都市バスターミナル間は運賃1550円、所要時間約1時間30~40分に対し、東武の浅草~佐野間はきっぷ運賃990円、特急料金1050円(特急リバティりょうもうは1250円)で計2040円(特急リバティりょうもうは計2240円)、所要時間は約1時間30分である。

 いずれも高速バスが安い。浅草や北千住へ遠回りしなくてもよいこと、特急りょうもうで伊勢崎や佐野へ向かうには、直通列車を除き、途中駅で乗り換えを強いられることから、利便性の高さがうかがえる。

大増発した湘南新宿ライン

久喜駅の位置(画像:(C)Google)
久喜駅の位置(画像:(C)Google)

 JR東日本の湘南新宿ラインは、2001(平成13)年12月1日に開業した際、運転本数が少なかった。その後、池袋駅や新宿駅の改良工事に加え、車種の統一を図ったことにより、2004年10月16日のダイヤ改正で大増発を図る。

 これにより、渋谷・新宿から東武に接続する久喜までの間が直接結ばれ、浅草や北千住へ向かう必要性もなくなった。また、2015年3月14日に開業した上野東京ラインも同様で、東京~久喜間が直接結ばれた。

 鉄道利用で都心から館林方面へ向かうには、久喜で乗り換えるのが一般的なルートになったほか、東武は久喜~館林間の各駅停車が日中20分間隔で運転されていることも重なり、特急りょうもうの“求心力”が低下する大きな要因となった。

 なお、東武は2006年3月18日のダイヤ改正で、特急りょうもうの久喜停車を開始。当初は一部列車のみだったが、2017年4月21日のダイヤ改正で、特急リバティりょうもうも含めた全列車に拡大した。利用客は浅草~久喜間よりも、久喜~館林方面間が多い。

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