「インバウンドだけ課税しろ」 “宿泊税”の使い道に不満噴出! 観光振興はそもそも誰のためなのか?
宿泊税は全国で導入が進み、観光振興のための財源として期待されている。しかし、その運用にはさまざまな課題が浮き彫りになっている。宿泊税の目的は観光振興にあるが、地域全体の公共サービスにも貢献するという視点が重要だ。そのため、税収の使い道や負担と受益のバランスを見直す必要がある。
観光振興税の限界と再定義

これを踏まえて、塚本教授は次のように提言している。
「もし、宿泊税率や税収が増え、理解を得るために受益と負担の一致を目指すのであれば、負担者が受益者と一致するよう、道府県在住の宿泊者に恩恵のある政策にも配慮すべきである」
その具体的な施策として、宿泊税を
「消防・救急サービスに活用する」
ことが挙げられている。これにより、安心して観光できるまちとしての魅力が高まり、日本人や都内住民にも恩恵があると指摘している。
塚本教授の分析が示すのは、観光振興のための目的税としての宿泊税の限界である。現在の運用は、インバウンドに偏り、受益と負担の不均衡を生んでいる。これは、観光振興が地域を活性化するという、いわば
「風が吹けば桶屋が儲かる」
ような論理では、もはや税の正当性を説明できなくなることを意味している。宿泊税は観光振興のための財源ではなく、
「地域全体の公共サービスを支える新たな財源」
として再定義する必要がある。そうしなければ、観光客、特にインバウンドに対する反感がますます高まるだろう。