日本の「恐怖体験」が持つ独自の魅力【連載】平和ボケ観光論(4)
平和な日本で味わう極限体験

平和な日本には、各地で刺激や緊張感を楽しめる活動が豊富にあり、これらは海外からの旅行者の間でも大きな人気を集めている。例えば、徳島県三好市の「祖谷のかずら橋」は、シラクチカズラを使って作られた全長45mのつり橋で、足元から14m下の谷底が見えるスリル満点のスポットだ。この橋は英語の旅行ガイドにも掲載されており、海外からの旅行者も年々増加している。
こうした都市部から離れた場所にまで多くの旅行者が迷いなく足を運ぶのは、日本全土において移動の安全が守られ、どこへ向かっても身の危険を感じることがないという強い信頼があるからだ。異国の地で人里離れた場所を目指すことは、本来であれば相応の警戒や緊張を伴うものだが、日本では移動の行程における不安を感じることなく、目的地での体験そのものに集中できる環境が整っている。
静岡県の須津渓谷橋や群馬県猿ヶ京で楽しめるバンジージャンプも、非日常的なスリルを求める外国人に人気が高い。施設には外国人スタッフも多く、言葉の壁を越えて安心して挑戦できる体制が整備されている点が評価されている。また、山梨県富士吉田市の富士急ハイランドや三重県桑名市のナガシマスパーランドにある絶叫マシンも注目を集めており、特に富士急ハイランドのバイクライド型コースター「ZOKKON」は、動画を通じてその刺激的な魅力が世界中に広まっている。
さらに、歴史や文化に緊張感を加えた「日光江戸村」の忍者体験や、東京都八王子市の高尾山などで体験できる滝行も、日本ならではの活動として高い支持を得ている。これら多種多様な体験が目的地として成立するのは、施設の運営体制やそこに至るまでの交通インフラが、全国どこでも極めて安定しているからに他ならない。旅行者は日本という社会全体を一つの安全な空間として信頼し、防衛本能を解除した状態で、各地に点在する極限の体験へと足を進めることができるのである。