高齢者置き去り? 「ITオンチな利用客」が直面する路線バスデジタル化、専門家が警鐘する現実とは
デジタル化の波が公共交通に押し寄せるなか、高齢者やITに不慣れな人々の移動環境が置き去りにされている。IT導入が進む一方で、デジタルデバイドを解消するためには社会全体での配慮と支援が急務。アナログとデジタルをうまく融合させ、誰もが平等に交通サービスを享受できる未来を築くための課題とは。
「食わず嫌い」が生むIT障壁

ITが苦手な理由のひとつに、意外にも
「食わず嫌い」
が多いことが挙げられる。実際には「やりたくない」というわけではなく、経験不足や恐れからくる不安が影響していることがほとんどだ。特に高齢者は、
・操作ミス
・詐欺リスク
を避けるために、意識的にデジタルツールへのアクセスを避ける傾向がある。また、世代間でのデジタルリテラシーの差を感じ、自分は「使えない」と思い込んでいるケースも多い。
しかし、大学でのITサポート講習を通じて、高齢者が意外にも上達することがわかっている。重要なのは、まず実際に触れて慣れることだ。この
「一線を越えさせる社会の仕組み」
が、デジタルデバイドを解消するために重要となる。実際、積極的に学びたいという意欲を持つ高齢者も多い。筆者は、ITが苦手な高齢者でも学べば十分にできるようになると確信しており、社会としてその努力を支援し、学びの機会を提供することが求められる。