マツダSKYACTIV-Z、「相反する燃焼技術」をどう両立させるのか? 2027年登場に向けて大胆予測する

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マツダが2025年3月期の決算発表で明らかにした新型ガソリンエンジン「SKYACTIV-Z」。2027年の市場投入を目指し、ラムダワン燃焼とスーパーリーンバーンの両立を狙うこのエンジンは、燃費向上とNOx削減を実現する革新技術の宝庫だ。果たして、マツダはエンジンの進化をどこまで進めるのか?

新型エンジン SKYACTIV-Zを開発中

東京モーターショー2019でマツダのロゴ(画像:EPA=時事)
東京モーターショー2019でマツダのロゴ(画像:EPA=時事)

 マツダは11月7日に2025年3月期第2四半期決算を発表し、販売台数の推移や通年の見通しを示した。そのなかで、新型ガソリンエンジン「SKYACTIV-Z」の発表があった。

 SKYACTIV-Zは、現行の4気筒エンジン「SKYACTIV-X」の後継モデルとして開発されており、2027年の市場投入を目指している。

 発表のなかでは、SKYACTIV-Zのコンセプトの一部も明らかにされた。「ラムダワン燃焼」を使い、「スーパーリーンバーン燃焼」を低回転から高回転まで適用することで、高効率化を図るという。

 しかし、ラムダワン燃焼とスーパーリーンバーン燃焼は、性質が大きく異なり、両立が難しい技術だ。

薄燃料燃焼の限界と挑戦

SKYACTIV-Zの発表内容(画像:2025年3月期第2四半期決算発表会資料)
SKYACTIV-Zの発表内容(画像:2025年3月期第2四半期決算発表会資料)

 ラムダワン燃焼という言葉はあまりなじみがないが、これはおそらく混合気の燃料と空気の割合を示す空燃費のことで、理論空燃費を示す「λ=1」の状態、つまり

「ガソリン1:空気14.7」

の割合で完全燃焼することを意味している。

 一方、スーパーリーンバーンは、燃料に対して空気が過剰な状態で燃焼するリーンバーンの一種で、少ない燃料で効率よく燃焼するため、燃費向上には効果がある。しかし、薄い燃料では燃焼が難しいという課題もある。

 リーンバーンはλ=1から2の範囲で定義されており、スーパーリーンバーンではさらにλ=2以上、理論空燃費の倍以上を目指して、非常に薄い混合気で燃焼することになる。

 マツダはSKYACTIV-Xでも高圧縮比とリーンバーンを組み合わせて燃費改善を図っていたが、SKYACTIV-Zではその進化版としてスーパーリーンバーンを取り入れ、さらに低燃費化を狙っていると考えられる。しかし、通常のエンジンではラムダワン燃焼とスーパーリーンバーンを両立させるのは難しい。

 では、ラムダワン燃焼とスーパーリーンバーンが両立するエンジンはどのようなものなのか。現時点で分かっている情報を基に予測してみよう。

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