新幹線なのに在来線? JR西日本の不思議路線「博多南線」をご存じか

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博多駅から博多南駅を結ぶ8.5kmの博多南線。新幹線単独駅ではなく、九州新幹線の「本線」として運行されている。いったいなぜだろうか。

まるで後楽列車のような様相

博多駅に入線する博多南線・700系レールスター。今や700系自体が「1世代前の珍しい新幹線」となっているためか歓声を上げる子どもの声も聞こえた(画像:若杉優貴)
博多駅に入線する博多南線・700系レールスター。今や700系自体が「1世代前の珍しい新幹線」となっているためか歓声を上げる子どもの声も聞こえた(画像:若杉優貴)

 ホームに上がると驚かされたのが、その客層だ。乗車日は週末であったため、ビジネスマンの姿が少ない一方、買い物帰りの若者や部活帰りの高校生たちが目立つのは当然である。

 しかし、この日最も多かったのは家族連れや子どもたちの姿。その割合はざっと見て半分くらい。筆者はときどき博多駅を利用するが、博多南線ホームにこれほど家族連れが多いのは初めて見る光景だった。今日は博多南駅で子ども向けのイベントでもあるのだろうか――。

 前後を家族連れに挟まれながら車内に乗り込む。後ろに並んでいた親子に話を聞くと

「今日は新幹線に乗るために来た」

という。

 席に座って周りを見渡すと、家族で記念写真を撮っている乗客も少なくない。どうやらイベントなどがある訳ではなく、家族連れの多くは新幹線に乗ること自体が目的らしい。

 2階建て新幹線・E4系MAX引退前、筆者は東京~大宮間をMAXで移動したことがある。しかし、東京から大宮まで新幹線で往復すると往復3000円以上(大人運賃・小人半額)。仮に大人ふたり・子どもふたりの家族4人で乗車すれば1万円前後もかかる。

 一方、博多南線は博多駅から往復でわずか600円(大人運賃・小人半額)。家族4人でも1000円台で収まる額で、気軽に新幹線での小旅行気分を味わえる。

 特に取材時は、新幹線を舞台としたアニメ「新幹線変形ロボ シンカリオン」(テレビ東京系)が放送中だったため、テレビを見て「新幹線に乗りたい!」と思う子どもも多いのだろう。コロナ禍で、小学生以下はまだワクチンを接種していない子どもが多いこともあり、家族旅行に行くことが少しはばかられるなか、近場で新幹線に乗れるという博多南線は休日の人気レジャースポットとなっていたのだ。

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