路線バスの赤字問題、もう「批判」だけじゃ解決しない? 事業者の「96%」が赤字現実、必要なのは利用者の当事者意識か
バス会社の「96%」が赤字という現実がある。2024年問題やドライバー不足が進む中、利用者自身の行動が求められている。赤字の原因は、自家用車の利用増加やコロナの影響だ。解決策として、地域での協力と新しい交通手段の導入が重要だ。
利用者の意識の変化が必要
私たち生活者に求められるのは、バス事業者や行政に対して「やれ!やれ!」と叫ぶことではない。苦しい状況にあるバス事業者に
・寄り添い
・一緒に考えながら
バスを維持できる環境を創ることが必要だ。現在のようにバス事業者任せでは、彼らも何もできず、利用者の共感を得ることも難しい。
筆者は地方自治体の地域公共交通活性化協議会の会長を務めている。この協議会は各自治体に設置され、学識経験者や行政、公共交通事業者(鉄道・バス・タクシーなど)、市民代表、福祉団体などが集まり、地域公共交通の方向性やバスのダイヤについて議論している。地域で公共交通のあり方を話し合う風潮は、公共交通にとって非常に重要な後押しとなる。政策的に公共交通を支えることは、その維持や発展につながり、大切な役割を果たしている。
例えば、静岡県御殿場市では未来プロジェクト課が
「路線バスを育てよう」
という合言葉のもと、公共交通利用促進運動を展開している。御殿場市は
「路線バスを1年に3回は利用しよう」
と呼びかけた結果、2019年度には前年度比7万人増の85万人が利用することとなった。地域政策を創るには、議会や議員、自治体職員の役割が非常に重要であり、特に首長や議員が公共交通活性化をマニフェストに盛り込むことは非常に少ない。こうしたなかで路線バスを育てる政策は、参考になる優れた例だ。
さらに、毎年9月20日の「バスの日」には、バスの無料利用日を設けたり、親子を対象にしたバス営業所の開放イベントを行ったりするなど、路線バスの魅力を知ってもらう取り組みが増えている。