路線バスの赤字問題、もう「批判」だけじゃ解決しない? 事業者の「96%」が赤字現実、必要なのは利用者の当事者意識か
バス会社の「96%」が赤字という現実がある。2024年問題やドライバー不足が進む中、利用者自身の行動が求められている。赤字の原因は、自家用車の利用増加やコロナの影響だ。解決策として、地域での協力と新しい交通手段の導入が重要だ。
バス事業者の現状分析
バス事業者の赤字はなぜ生まれるのか。その大きな要因は
「モータリゼーションの影響」
だ。通勤やレジャーで自家用車が使われるため、当然路線バスの利用者は減少している。利用者の中心は、
・高齢者
・障がい者
・学生
など、自家用車の運転ができない、または苦手な人たちだ。また、肝心の通勤輸送も新型コロナウイルスの影響でテレワークが普及し、定期券収入も得られなくなった。4月と10月にまとまった定期券収入が得られない状況は、路線バス業界にとって致命的な打撃となっている。
さらに、2024年問題が現実化し、ドライバーの給与や支度金の確保も求められる状況だ。行政からはバリアフリーやユニバーサルデザイン、エコデザインの導入が求められ、車両の購入価格も高騰している。2018年の乗り合いバス事業の運行データによれば、全国平均で走行1kmあたりのコストは約477円に上る。その内訳を見ると、
・人件費:約57%
・燃料油脂費:8%
・車両の償却費:6%
・車両の修繕費:6%
・その他の経費:23%
となっている。
最近では、ドライバー不足を補うために人件費や燃料油脂費が高騰し、利益を上げることが難しくなっている。新型コロナの影響を受けた2020年度には、全国のバス利用者が31億2055万人に減少し、前年度の42億5765万人から
「26.7%減少」
となった。新型コロナが収束し、この利用者数をどこまで回復させられるかが業界の注目を集めている。
このように、バス事業の全国的な惨状や不景気による税収の減少があるにもかかわらず、依然としてドライバーの給与を上げるべきだという声が多い。筆者は、
「その財源はどうするのか」
と問いたくなる。ここで私たち生活者は、知恵を絞る必要がある。