中ロ艦艇通過で防衛懸念も 「津軽海峡」は物流ポテンシャルも凄かった

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ロシア海軍の艦艇4隻が3月15~16日に通過した津軽海峡。国際法上は外国艦艇でも自由に通過できるようになっている同海峡だが、実は新たな物流拠点となることを期待されている。

「特定海域」とは何か

津軽海峡(画像:(C)Google)
津軽海峡(画像:(C)Google)

 防衛省は3月16日、ロシア海軍の艦艇4隻が15~16日に津軽海峡を通過したと発表した。2021年10月には、ロシア海軍と中国海軍の艦艇10隻も通過している。津軽海峡は北海道南端と本州北端との間にあるが、その扱いは特殊だ。海峡の中央部分は公海とされており、国際法上は外国艦艇でも自由に通過できるようになっている。ちなみに日本の領海内にもかかわらず、公海として扱われている海峡は五つある。

 それは前述の津軽海峡のほか、

・宗谷海峡:北海道の最北端に位置する宗谷岬とサハリンのクリリオン岬の間
・対馬海峡東水道:九州と朝鮮半島の間。中央に横たわる対馬の東、壱岐までの間
・対馬海峡西水道:対馬の西
・大隅海峡:鹿児島県本土の南端、佐多岬と種子島との間

だ。

 これを見ると、私たちも九州から屋久島や種子島、対馬へ向かう際、公海上をわずかながら通行していることが分かる。なお、これらの海域は日本政府が1977(昭和52)年の「領海法」で

「特定海域」

に設定している。

公海部分を設けているワケ

空と海(画像:写真AC)
空と海(画像:写真AC)

 この領海法で、領海は基線(海岸の低潮線、湾口もしくは湾内等に引かれる直線)からその外側12カイリ(22.2km)までとされた。

 そして、国際航行に使われる「国際海峡」である五つの海峡は、特定海域として、同海域に係る領海は基線からその外側3カイリ(5.6km)の線と、これと接続して引かれる線までの海域とされた。

 政府の見解によれば、国際海峡とした場合、外国艦艇の無害通航権(他国の領海内を通航できる権利)の発生など、防衛上の問題が発生するという。また、

「海洋国家、先進工業国としてのわが国は、国際交通の要衝たる海峡における商船、大型タンカー等の自由通行を確保することが国益に合致するからである」(海上保安協会「新海洋秩序と海上保安制」)

としている。

 公海部分を設けることで外国艦艇を制限しているわけだが、同時に自由通行を確保することで、日本の港への寄港促進という経済性も残している。

 津軽海峡はアジアと北米を結ぶコンテナ船の約3割が通過する国際的な航路だが、その活用は十分とはいい難い。

 平成初期とは異なり、日本のコンテナ船のハブ機能は低下している。その背景には、韓国やシンガポール、中国がコンテナ船の大型化に対応した港湾整備を進めたことがある。そのほかにも、1995(平成7)年の阪神淡路大震災を契機に、神戸港の機能が釜山港に流れた歴史もある。

 平成の30年間で、アジアにおける日本の物流拠点としての地位は中国や韓国にほとんど奪われたといっても過言ではない。