新規ファン獲得の大きなカギ【連載】開かれたF1社会とその敵(5)
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F1は2025年に75周年を迎える。今、閉鎖的な構造から脱却し、オープンな社会への道を探っている。「マニアの存在」や「競技の複雑さ」が新しいファンを遠ざけているが、データのオープン化やVR観戦の導入が期待されている。多様な人材を受け入れることで、F1の未来は明るくなるだろう。
多様性推進が開く未来

F1の未来に関して、現行の10チームを維持できるかどうかは誰にもわからない。そのため、新規参戦者が質の高いチームを維持しつつも、参入しやすい仕組みを作ることが重要だ。
この問題を理解するには、アンドレッティ・グローバルのF1参入問題がわかりやすい例だ。最近、同チームの経営体制が変わり、マイケル・アンドレッティが最高経営責任者(CEO)兼会長から戦略アドバイザーに就任し、経営の第一線から退くことになった。今後の展開には不透明な部分が残るが、これは未来への重要な試金石となるだろう。
最後に、人材の多様性も忘れてはいけない。2020年頃に「We Race As One」というキャンペーンが盛んに行われ、レースにおける
・人種
・性別
・国籍
を超えて平等な世界を目指す取り組みが進められた。ルイス・ハミルトンは人種差別に対する意識を高める活動に取り組んでおり、彼自身もF1だけでなくさまざまな場面で人種の壁に直面してきた。そのため、このような取り組みが成功すれば、F1の閉鎖的な環境を打破する可能性が高まる。
小松礼雄がHAASのトップに就任したこともよい兆しだ。こうした動きが普通になれば、F1の未来は明るいものになるだろう。