新規ファン獲得の大きなカギ【連載】開かれたF1社会とその敵(5)

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F1は2025年に75周年を迎える。今、閉鎖的な構造から脱却し、オープンな社会への道を探っている。「マニアの存在」や「競技の複雑さ」が新しいファンを遠ざけているが、データのオープン化やVR観戦の導入が期待されている。多様な人材を受け入れることで、F1の未来は明るくなるだろう。

感情移入できない理由

サーキット(画像:写真AC)
サーキット(画像:写真AC)

 他にも「レースが複雑」という要因がある。例えば、アンダーカット(ピットストップを早めることで、他のドライバーよりも先にコースに戻り、結果的に順位を上げる戦略)をする場合、

・フューエルエフェクト(燃料の量や重さが走行性能に与える影響)
・コース特性
・グリッドポジション

を重視するかどうか、さらにはタイヤ特性などを考慮しなければならない。しかし、これを理解するのは、F1が好きな人でも簡単ではない。野球初心者がタッチプレーとフォースプレーの違いを理解するのが難しいのと同じように、モータースポーツのレースの難しさはそれ以上に複雑だ。

 また、追い越しを増加させるためのDRS(ドラッグ・リダクション・システム)も、素人には理解しづらい。F1側がDRSを導入した理由は理解できるが、発動するには特定の地点で前の車とのタイム差が1秒以内でなければならない。このような面倒なルールが必要な理由も疑問だ。もしあなたが、DRSを知らない友人にレースの展開が変わる生中継のなかで簡潔に説明できる自信があるだろうか。つまり、

・実感がともなわない
・マニアがいる
・レースが複雑

という三重のハードルがあるため、F1を楽しむには少し難しい面があるのだ。

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