船底が「赤い」のはなぜか、知ってる? 実は明確な理由があるんです

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船の底が赤いのは、防汚や腐食防止のための実用的な理由がある。これは古くからの伝統で、今でも大切にされている。最近では、低摩擦塗料が開発され、燃料消費を削減し、二酸化炭素の排出量も減らすことができるようになった。このようにして、持続可能な運航が実現されている。国際的な規制も進化しており、環境への配慮がますます重要になっている。船舶業界では、こうした変化に対応するために技術革新が追求されている。

船底塗料の役割

船舶(画像:写真AC)
船舶(画像:写真AC)

 現代の船では、船底に塗られる塗料には主にふたつの目的がある。

 ひとつは「腐食防止」だ。船体は主に鉄板で作られていて、長期間海水にさらされると腐食が進んでしまう。特に、塩分を多く含む海水は鉄や鋼などの金属を早く腐食させるため、船体の寿命に悪影響を与える。

 もうひとつの目的は「防汚効果」だ。船底に付着する海洋生物や汚れは、船の運航に大きな悪影響を及ぼす。船底は常に海水に漬かっているため、貝類や海藻が付着しやすくなる。これによって、船の水中での表面抵抗が増加し、燃費が悪化したり速度が落ちたりする。こうした問題を防ぐために、防汚塗料が船底に塗られている。

 なお、船底に塗装される防汚塗料(Anti-Fouling Paint、AF塗料)は

●加水分解型
 この塗料は海水の弱アルカリ性と化学反応を起こし、塗膜の樹脂が溶け出すことで常に滑らかな表面を保つことができる。塗膜表面は防汚性能を長期間発揮するが、海水と反応するため淡水域では効果がない。

●水和分解型
 水になじみやすい樹脂を使用しており、防汚剤が少しずつ溶け出して塗膜表面を更新する。加水分解型に比べると長期使用には向かないが、淡水域でも効果を発揮できる。

●シリコン型
 シリコンゴムを使用しており、その弾性、撥水(はっすい)性、平滑性によって海洋生物が付着しにくくなる。

などの種類に分類される。

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