「V型エンジン」が高級車にめっきり採用されなくなった根本理由

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環境規制や消費者のニーズが変化したことで、V型エンジンは衰退の道をたどっている。トヨタをはじめ、国内外のメーカーは燃費効率の高い直列エンジンやハイブリッド、EVへのシフトを加速している。2032年には世界のEV市場が1.8兆ドルを超え、アジア太平洋地域が半数以上のシェアを占める見通しだ。複雑でコストのかかるV型エンジンが一般市場で復活する可能性は低いと考えられている。

厳しい環境規制と燃費性能の悪さ

2.4L直列4気筒ターボエンジンを採用したトヨタ「クラウン(クロスオーバー)」(画像:トヨタ自動車)
2.4L直列4気筒ターボエンジンを採用したトヨタ「クラウン(クロスオーバー)」(画像:トヨタ自動車)

 V型エンジンの採用が減っている大きな理由のひとつは、環境規制が厳しくなっていることだ。

 V型エンジンは燃費効率があまりよくないため、燃費性能が重視される現在、選ばれにくくなっている。環境問題への関心が高まり、各国で排出ガス規制も強化されるなか、燃費の悪いV型エンジンは次第に使われなくなっている。

 最近の自動車業界では、燃費と環境への配慮が特に重要視されている。例えば、欧州では欧州連合(EU)がCO2排出量の制限を強化し、2030年までに新車のCO2排出量を約50%削減する目標が掲げられている。この影響で、各メーカーは燃費の良いエンジンや電動化技術の開発に力を入れている。

 例えばトヨタのクラウンは、以前はV型エンジンを採用していたが、2022年から販売している16代目エントリーモデルでは、直列エンジンやハイブリッドシステムを搭載している。これによって燃費性能が大幅に向上し、環境への負荷も軽減されている。

 またトヨタは、2030年までに全車種をハイブリッドか電動車にする目標を掲げ、電動化技術の開発を加速させている。次世代バッテリー技術や燃料電池車の普及にも力を入れ、2025年までに世界での販売台数の半分を電動車にする計画を立てており、その内訳にはハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)などが含まれている。

 日本国内でも、政府が2035年までに新車販売をすべて電動車にする方針を発表しており、このような政策の後押しもあって、各メーカーは環境対応型技術の開発に余念がない。V型エンジンから直列エンジンやハイブリッドシステムへの移行は、こうした厳しい環境規制や消費者の意識の高まりに応えるための、自然な流れといえる。

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