北陸新幹線開業27年! 長野県「佐久市」が繁栄し「小諸市」が衰退した理由とは?

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北陸新幹線が開業した後、佐久市は交通の便利さを活かして繁栄した。しかし、一方の小諸市は衰退していった。小諸は特急停車駅を失ったため、観光客が大幅に減少し、懐古園の来場者数は100万人から約18万5000人にまで落ち込んだ。佐久市は2021年の商圏調査で23万9303人という高い地元滞留率を示しているが、商業は特定のエリアに集中しており、全体の商店数は38%も減少している。両市の運命は交通と商業に大きく依存しており、今後の動きが注目される。

「佐久市の分断」取り残される旧市街

佐久市(画像:写真AC)
佐久市(画像:写真AC)

 佐久市の人口動態を詳しく見ると、新幹線開通後の都市構造の変化が明らかになる。

 最も顕著な変化が見られるのは、佐久平駅周辺の岩村田地区だ。1990(平成2)年には1万2825人だった人口が、2020年には2万856人に増加した(63%増)。

 元々、佐久市は岩村田、野沢、中込の三つの市街地で構成されていた。しかし、岩村田以外では、著しい人口増加は見られない。野沢と中込の1990年と2020年の人口推移は次のとおりだ。

・野沢:8116人 → 9066人(12%増)
・中込:7499人 → 7533人(0.45%増)

 この30年間で、中込の人口はほとんど変わっていない。岩村田の63%増とは大きな違いだ。この極端な差は、新幹線がもたらした繁栄の実態を示している。

 佐久市は一見発展しているように見えるが、その実態は佐久平駅周辺への一極集中に過ぎず、地域の分断を深めている。大資本による大型商業施設が進出し、人口や経済活動が駅周辺に集中する一方で、歴史ある旧市街地は取り残されている。

 このようないびつな発展を果たして勝利や成功と呼ぶことができるのだろうか。新幹線誘致は、佐久市に予期せぬ課題をもたらしたのだ。

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