黒字経営も、いまだ高い鉄道収入への依存度【短期連載】東京メトロ、破られた沈黙(3)

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東京メトロが10月23日に上場し、初値は1630円、時価総額は9470億円に達した。そのなかで、豊洲から住吉までの有楽町線と、白金高輪から品川までの南北線の延伸計画が進んでいる。2030年代半ばの開業を目指し、国と東京都が株式の半数を保有しながら、公共性と民営化の両立を図る挑戦が始まった。鉄道収入が減少傾向にあることが懸念される中、株主還元や新線建設の戦略が、未来の公共交通に大きな影響を与えることになる。

東京メトロ新たな飛躍

東京メトロのマーク。2024年7月撮影(画像:時事通信フォト)
東京メトロのマーク。2024年7月撮影(画像:時事通信フォト)

 東京地下鉄(東京メトロ)は10月23日、東証プライム市場に上場した。初値は1株1630円で、売り出し価格の1200円を35.8%上回り、時価総額は9470億円に達した。初日は1株1739円で取引を終えた。

 そんな東京メトロの上場が実現したのは、ふたつの延伸計画が具体化しているからだ。

●有楽町線延伸計画
区間:豊洲駅~住吉駅
延長:4.8km
新設駅:(仮称)枝川駅、(仮称)千石駅

●南北線延伸計画
区間:白金高輪駅~品川駅
延長:2.5km

 これらの新線計画は、2030年代半ばの開業を目指しており、2025年にも着工が見込まれている。この計画が上場実現の大きな理由となった。

 東京メトロは2008(平成20)年の副都心線開業以降、新線建設を行わない方針を採っていた。しかし、2010年代に入ると、国が東京の国際競争力強化を目指して鉄道ネットワークの整備を進めるなかで、この方針が見直されることになった。

 そのなかで、上記の2路線の建設計画が進展し、国による地下高速鉄道整備事業費の補助や財政投融資を通じて資金調達が行われ、東京メトロは新線建設を決断するに至った。

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