九州新幹線の功罪 巨大資本で失われた「鹿児島らしさ」は復活できるのか?
新幹線駅開業で鹿児島中央駅周辺は急激に発展し、旧市街地・天文館は衰退の危機が訪れる。その原因は何か。また打開策とは。
鹿児島中央駅周辺は「東京的」
このようなとき、地方都市にはストロー効果(地方の人口や資本が大都市に吸い寄せられること)が起きがちだ。
鹿児島市の場合は新幹線駅開業が呼び水になり、外部から大型資本が流入し、それまでの街の構造を激変させた。こうした背景があるため、新旧市街地の雰囲気も大きく異なる。
天文館周辺は、
・伝統的な商店街
・山形屋(県内唯一のデパート)
がそびえる「鹿児島らしさ」があるのに対して、鹿児島中央駅周辺はどこか東京的な雰囲気を感じる。駅周辺にはイオンが進出し、ビックカメラ(ともに鹿児島中央店)も大きな店舗を構えていることが原因なのかもしれない。
「鹿児島らしさ」の行方
そんな鹿児島市だが、この10年あまりで、鹿児島中央駅と天文館周辺の回遊性を高める施策が練られてきた。その本命とされるのが2022年4月に開業予定の再開発ビル・センテラス天文館だ。
このビルは市立図書館とホテルのほか、約80のテナントが入居する地上15階建てで、最上階を展望台にして観光客の呼び込みを図る構えだ。人の流れの変化に注目が集まっている。
鹿児島だけでなく、各地新幹線の延伸工事は進んでおり、新駅周辺で大がかりな都市計画を進めているところも多々ある。路線の都合で、従来の市街地から外れた場所に新駅ができるケースも多い。
旧市街地のにぎわいを維持した上で、新駅周辺の開発を進めるためのセオリーはまだ見つかっていない。