「女性の性被害が多い」 SNSで話題の「東京・水元公園」は本当に危険なのか? 葛飾区の治安データから読み解く、SNSの危うさと真実とは

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水元公園が危険だという噂が広がっているが、実際の犯罪統計を見てみると、161件の犯罪が発生しているのに対し、新小岩では429件、亀有では376件と比較して相対的に安全だ。2020年の性犯罪事件以外の重大な事件はほとんど報告されていない。SNSの偏見に惑わされず、豊かな自然環境を楽しむべきだ。また、地域住民の協力も大切だ。

都内の犯罪データ分析

水元公園(画像:写真AC)
水元公園(画像:写真AC)

 一般的に治安の指標として使われるのが「刑法犯認知件数」だ。刑法犯認知件数とは、警察が把握している犯罪の件数のことを指す。具体的には、警察に通報されたり、捜査によって明らかになったりした刑法に基づく犯罪行為(窃盗や暴行、殺人など)の件数を指す。

 この認知件数は、犯罪が実際に発生したかどうかは関係なく、警察が認知した時点でカウントされる。つまり、被害者が届け出たものや、警察が自ら発見した犯罪が含まれる。そのため、すべての犯罪が報告されるわけではなく、実際の発生数よりも少なくカウントされることもある。この指標は、地域の治安状況を把握するための目安として使われ、自治体や国が治安対策を立てる際の重要なデータとなっている。

 警視庁が公開している2023年の「区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数」によれば、23区の犯罪認知件数は次のように多い順に並んでいる。

・新宿区:4394件
・世田谷区:3282件
・足立区:3235件
・大田区:3179件
・江戸川区:3116件
・渋谷区:2874件
・練馬区:2753件
・豊島区:2721件
・江東区:2545件
・板橋区:2401件
・港区:2319件
・葛飾区:2208件
・台東区:2024件
・杉並区:1854件
・千代田区:1806件
・品川区:1685件
・北区:1654件
・墨田区:1598件
・中野区:1526件
・中央区:1455件
・目黒区:1068件
・荒川区:940件
・文京区:849件

これを見てもわかるように、葛飾区は港区よりも刑法犯認知件数が少なく、治安が良好な地域だといえる。つまり、水元公園とその周辺地域は、東京都全体の中でも

「比較的安全な地域」

と評価できるのだ。冒頭で触れた話題の発端となっているXでの投稿は、根拠のない情報で地域への偏見を助長する誹謗(ひぼう)中傷に近いだろう。このようなデマを真に受けている人が多いのは驚きだ。

 考えてみてほしい。大規模な公園には多くの人が集まるため、どこでも一定のリスクがともなう。夜間はもちろん、日中でも女性がひとりで歩くのが不安に感じることもあるだろう。また、子どもに近づけたくない不審な人物を見かけることも珍しくない。

 これは水元公園に限った話ではなく、日比谷公園や他の大きな公園でも同じことがいえる。要するに、公園の規模が大きければ大きいほど、そこに潜む危険性も比例して大きくなるのだ。

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