バスドライバー不足の救世主? いま「中古バス」ががっつり注目されるワケ 観光業の回復を通して考える
日本の観光業が回復しているなか、訪日外国人が最も利用する公共交通は鉄道とバスだ。特に注目されているのが、コストを抑えた中古バスで、価格は280万~490万円と新車の約5分の1の安さだ。バス事業者はドライバー不足や赤字に悩まされながらも、経済的メリットを享受しつつ企業イメージを守るという難題に直面している。SDGsへの貢献と効率的な運行を両立させることが求められるなかで、中古バス市場の活用が重要な鍵を握っている。
新車価格、高騰の理由
路線バスの新車価格は通常、税込みで2100万円から2600万円(大型)の範囲にある。高速バスの大型車両は4400万円から4900万円、大型観光バスの新車は3800万円から4400万円といわれている。
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バス事業者によって内装や外部の仕様が大きく異なり、大口購入や長年の取引による割引があるため、価格に幅が生じやすい。ただし、路線バスはバリアフリーやユニバーサルデザインの推進によって価格が高騰している。また、観光バスや高速バスも生産数が減少し、設備の高度化が進んでいるため、コスト回収のために価格が上がっており、事業者にとっては厳しい状況が続いている。
一方、大型の路線バスの中古車は税込みで280万円から450万円、大型の高速バスは350万円から450万円、大型の貸し切りバスは330万円から450万円程度で販売されている。もちろん、元々の設備がよい車両(例えばトイレ付き)や年式によって価格は高くなることが多い。
これらの数字は現状の参考値だが、中古車の改装費用を考慮しても、大型路線バスであれば新車1台分の価格で
「中古車5台」
を、大型の高速バスや貸し切りバスであれば新車1台分の価格で
「中古車10台」
を購入できる。新車と比べた場合の経済的な利点は明らかで、中古車を使えば同じ費用で多くの車両をそろえることが可能だ。
特に中小企業にとっては、車両数や企業規模を考えると、中古バスが現実的な選択肢になる。コスト削減に加え、種車を購入して改装を急げばデビューまでの期間も短縮できる。