送迎バス「園児置き去り事故」をなくすために必要なのはテクノロジーか、それとも対人コミュニケーションか

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近年頻発する、バス内の子どもの置き去り事故。これを防ぐために必要なのはテクノロジーか、それともアナログなコミュニケーションか。

車内確認に生じるミス

送迎バスのイメージ(画像:写真AC)
送迎バスのイメージ(画像:写真AC)

 通学バスや通園バス、送迎バスなど、子どものいる家庭にとってバスは身近な乗り物だ。それゆえ、保護者は運転手の安全運転に常に気を配っている。

 特に最近は、終点到着後の車内確認が心配の種となっている。言うまでもなく、子どもの置き去り防止のためだ。車内確認は運転手の当然の業務のように思われるが、慣れが生む慢心がミスを犯すこともあるのだ。

 栃木県南東部に位置する茂木町で2021年11月、小学生女児が下校の送迎バス内に取り残されたというニュースが報じられた。11月という気候条件、約1時間という待ち時間、そしてなにより女児が自力で窓から脱出したことで、最悪の結果は免れた。

 しかし、このような悲劇は毎年のように起きている。

福岡県で起きた置き去り死

福岡県中間市(画像:(C)Google)
福岡県中間市(画像:(C)Google)

 特に記憶に新しいのは、2021年7月下旬に福岡県の北部にある中間市で起きた事件だ。送迎バス内に5歳の保育園児が約9時間置き去りにされ、熱中症で命を落とした。登園したはずのわが子が帰りのバスに乗っていないことに母親が気付き、事が発覚したという経緯も注目を集めた。

 バスに揺られていると、大人でもつい眠ってしまうことがある。それはもちろん子どもも同じで、運転手や同乗の先生が点呼や確認を行わなければ、そのまま車内に置き去りにされる危険性がある。

 このような確認作業は、基本かつ最も重要なものだ。それは言うまでもない。しかしミスを完全になくすことは難しい。なぜなら、誤謬を犯すのは人間の性だからだ。間違えない、ミスを犯さない人間は誰もいない。

 そんななか、危機回避の手段として注目を浴びているのがスマートフォンのアプリだ。送迎バスの位置情報アプリは既に複数存在し、運行状況や位置情報を簡単に把握できる。

 前述のような置き去り防止だけでなく、大地震などが発生し、子どもを迎えに行けないときなどでも、走行場所を知ることができるのは大きな安心につながる。

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