イスラエル製ドローンを導入すべき? 批判必至の「防衛省」が直面する矛盾、同国に頼るしかない3つの理由
「無人機は欲しいが、購入ははばかられる」矛盾
防衛省は矛盾に直面している。イスラエル製の無人機は欲しい。だが、国内外からの非難から購入ははばかられる。そのような葛藤の状態にある。この問題はどうすればよいのか。
【無料セミナー】「自動車DXサミット vol.3」 三菱ふそう KTC マツダ登壇 Amazonギフトカードプレゼント〈PR〉
最もよいのは、少なくとも
「ガザ停戦まで調達を延期する」
ことである。本来ならイスラエル製兵器は買うべきではない。ただ、無人機は日本の都合でどうしても欲しい器材である。それからすると、購入時期は見計らったほうがよい。それについては日本も求めているガザ停戦がひとつの目安となる。
なぜそのように判断するのか。
第一に、最悪の時期は避けなければならないからである。
今、イスラエルとの関係を深めることは不適切である。なかでも兵器導入といった軍事関連の関係強化は悪手でしかない。それからすれば、小型ドローンでも導入は見合わせたほうがよい。
逆に、最悪の時期を避ければそれほどの問題とはならない。もちろん、イスラエル製兵器の購入は好感にはつながらない。ただ、導入で生じるあつれきは大幅に減じるのである。
第二は、それほど急ぐ装備ではないことである。
たしかに自衛隊の無人機導入は遅れている。本来なら最優先すべき分野だが、陸海空とも等閑視(とうかんし。いいかげんに扱って放っておくこと)してきた。今はその遅れを取り返そうとする時期にある。
しかし、イスラエル製無人機に関しては急ぐ必要はない。
なぜなら、陸戦用の小型ドローンだからである。仮想敵国である中国との正面戦場となる海空戦用ではない。その点で優先順位は低い。
実際のところ使う見込みもない。陸上自衛隊向けだからである。日中が戦争となっても陸自には、ほぼ出番はない。
もちろん、必要ではある。陸自戦力は北海道での内陸決戦から脱却できていない。それを島しょ戦対応に改めるには重要な兵器である。
ただし、しばらくは待ってよい。中国との関係は別に悪くもない。日中関係は緊張含みだが戦争の危機とは程遠い。防衛費増額の根拠としてきた台湾有事論(中国が台湾へ軍事侵攻するシナリオ)もすでに雲散霧消している。
第三は、いつでも買えることである。
イスラエルはいつでも日本に売る。特にまとまった数であれば、日本と外交で衝突したとしてもイスラエルはもみ手で売る。
つまり、今でなければ買えないわけではない。ガザ停戦を待ってからでも買える。これもドローン購入を後回しにしてよい理由である。