数億ドルの被害も! 船舶デジタル化の裏に潜む「サイバー攻撃」のリスクをご存じか
船舶のデジタル化が急速に進んだことで、効率や安全性が向上した一方、サイバー攻撃のリスクも増えている。実際に名古屋港やMaerskは被害を受け、数億ドル規模の損失が発生した。今後、海運業界ではサイバーセキュリティ対策の強化が欠かせない。
船舶システムの脆弱性
船舶はかつて物理的な機器やアナログな通信手段に依存していたが、デジタル化の進展により船内のシステムは大きく変わっている。自動運転システムや船舶管理システムは効率性や安全性を大幅に向上させたが、その一方でサイバー攻撃に対する脆弱(ぜいじゃく)性も高まっている。
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以下のようなシステムがサイバー攻撃の対象になり得る。
・AIS(船舶自動識別装置):船舶の位置、針路、速力などの安全に関する情報を自動的に送受信するシステム。
・ECDIS(電子海図表示情報システム):AISから取得した他船の情報や海図情報を取り込み、周辺海域の船舶の運航状況をリアルタイムで把握できるシステム。
このような航海設備に加えて、
・操舵(そうだ)システム制御装置
・火災探知機
・消火装置
・ウインドラス制御装置
といった一見サイバー攻撃とは無関係に見える機器も、サイバー攻撃の対象になる可能性がある。したがって、サイバーレジリエンスを考慮すべき機器は船舶のシステム全体にわたる。
デジタル技術は現在、船舶運航に不可欠な要素となっているが、同時にサイバー攻撃の新たな入り口にもなり得るため、これらのシステムを保護することが重要である。