数億ドルの被害も! 船舶デジタル化の裏に潜む「サイバー攻撃」のリスクをご存じか

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船舶のデジタル化が急速に進んだことで、効率や安全性が向上した一方、サイバー攻撃のリスクも増えている。実際に名古屋港やMaerskは被害を受け、数億ドル規模の損失が発生した。今後、海運業界ではサイバーセキュリティ対策の強化が欠かせない。

急増するサイバー攻撃の実態

 近年、船舶のデジタル化が急速に進み、従来の物理的な接続や制御からコンピューターを活用したシステムへと変化している。しかし、船舶の機器がサイバー空間にさらされることで、サイバー攻撃のリスクが増大している。

 これらの攻撃は、航行システムや通信機器に影響を及ぼし、船の安全運航を脅かす可能性がある。そのため、

・船舶の運航を支える情報技術(IT)
・安全運航を支える運用技術(OT)

のシステムを守り、乗っ取りや運航不能になるリスクを避ける必要がある。

 実際、船舶に対するサイバー攻撃はここ数年で急増している。2017年には、世界的な海運企業Maerskがランサムウエア「NotPetya」の攻撃を受け、大規模なシステム障害に見舞われた。この攻撃により、同社の船舶運航は大きな混乱に陥り、被害額は2億ドルから3億ドルに達したといわれている。

 また、2023年7月には名古屋港コンテナターミナルがランサムウエア攻撃を受け、約3日間の操業停止に至る事態が発生した。サイバー攻撃は日本でも実際に起こっており、その影響は海事産業全体に及んでいるのだ。

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