なぜ空港経営には「民間の力」が必要なのか? 柔軟なアイデアと資金がもたらす変革! 利益追求だけではない地域活性化の意義とは

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「コンセッション」とは、空港の運営権を民間に売却しながら、公的機関が所有権を保持する新しい管理手法だ。航空インフラの維持費を民間が負担し、効率的な運営が求められる中、全国的に導入が進んでいる。現在、航空分野におけるコンセッションの割合はわずか0.5%だが、国の空港経営改革を背景に、民間の柔軟なアイデアと資金への期待が高まっている。空港運営のノウハウを蓄積した民間企業は、世界のニーズに応える未来を見据えている。

空港運営を武器に世界で戦う企業

仙台空港(画像:写真AC)
仙台空港(画像:写真AC)

 空港のコンセッション事業は、整備した空港インフラの所有権を維持しながら運営権を売却する仕組みだ。この背景には、民間が空港の維持管理費を負担し、運営を統一することでより戦略的な経営を行い、利益を上げるという考えがある。

 しかし、コンセッション事業にはリスク管理が課題として存在する。事業に問題が起きたり想定外の事態が発生した場合、

「責任の所在」

を明確にする必要がある。また、契約内容だけでなく、事業者を選定するプロセスにも慎重さが求められる。

『民営化の手法とリスク ―空港の民営化に関する法制度の検討を中心に―』(『社会科学ジャーナル』82〔2016〕、寺田)と題する論文では、

「国や地方公共団体が抱えるリスクを民営化した先の事業会社に移すことが目標ではなく、リスクが存在することを前提の上で、よりよいサービスを提供するための手段の1つとして民営化について考えるべき」

と述べられている。つまり、リスクをしっかり把握し、官民が同じ方向を向いている必要がある。

 空港のコンセッション事業の先には、空港運営の未来が広がっている。空港運営のノウハウを蓄積した民間企業は、将来的にそのノウハウを資産として活用できるだろう。世界には、そのような空港運営のノウハウを必要とする国や空港が多数存在する。空港という場所は世界とつながっているため、そこで得られる経験は国際的に通用するものとなる。

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