幹線道路沿いに住むと「不妊リスク」が高まる? 英国研究が明らかにした、クルマ由来「PM2.5」の笑えない影響とは
PM2.5暴露による不妊リスク24%増加
デンマークの研究チームが2024年9月に英国の権威ある医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)」で発表した研究では、PM2.5による大気汚染への長期的な暴露が
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「男性の不妊リスクの上昇」
と関連しているという驚くべき結果が報告されている。
不妊は妊娠を希望するカップルの7組に1組が経験する重要な健康問題であり、研究者たちは道路交通騒音とPM2.5の影響が男性と女性の不妊リスクにどう関係しているかを調べた。
2000年から2017年までの間にデンマークに住んでいて、子どもがふたり未満で同居または結婚している30~45歳の男性52万6056人と女性37万7850人のデータを用いて、研究チームは各参加者の居住地における年間平均PM2.5濃度と道路交通騒音レベルを計算し、不妊症の診断データと照らし合わせた。
追跡調査の期間(平均4年以上)中に1万6172人の男性と2万2672人の女性が不妊症と診断されていた。その結果、5年間連続して平均よりも2.9μg/m3高いPM2.5レベルに暴露された場合、30~45歳の男性の不妊リスクが
「24%増加」
することが明らかになった。
女性については、PM2.5が不妊とは関連していなかったが、5年間連続して平均よりも10.2デシベル高い道路交通騒音に暴露された35歳以上の女性では不妊リスクが14%増加することが判明した。一方、若い女性(30~35歳)では交通騒音と不妊の関連は見られなかった。
男性の場合、道路交通騒音は37~45歳の年齢層で不妊リスクのわずかな増加と関連していたが、30~37歳の年齢層では関連が見られなかった。この研究は、
「交通量の多い幹線道路沿い」
に住むことのリスクを浮き彫りにしており、騒音や大気汚染を規制する政策の必要性を示す根拠にもなり得る。二酸化炭素排出量の問題よりも、PM2.5の削減が私たちの健康にとって急務かもしれない。