都心アクセスが良いベッドタウンなら山ほどあるのに、「流山市」が選ばれ続けている根本理由

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流山市の人口が急増しているのは、つくばエクスプレスの開通や利便性の向上、そして積極的な子育て支援施策のおかげだ。特に流入人口は流出人口を上回っており、2021年には待機児童ゼロを達成した。井崎市長のリーダーシップのもと、流山市は「母になるなら、流山市。」というキャッチコピーを掲げ、子育て環境を整え、魅力的な居住地としての地位を確立している。

子育て支援の限界

流山市(画像:写真AC)
流山市(画像:写真AC)

 流山市は子育て支援策で大きな成功を収めてきたが、将来に向けてはさらに戦略の進化が必要だ。現状では、取り組みが十分とはいえない。

 市の公式ウェブサイトを見ると、小児科クリニックの開業誘致など、依然として子育て世代を重視した施策が目立つ。これらの政策は現在の流山市の強みを維持する上で重要だが、長期的な視点ではこれだけでは不十分である。

 現在の総合計画では、人口増加を背景に子育て支援策に重点が置かれている。これは短期的には正しい選択だが、今後は視野を広げる必要がある。若年層の雇用機会の拡大、進学・就職支援、起業促進など、次世代の自立と定着を促す包括的な施策を体系化することが求められている。

 この課題の重要性は過去の事例からも明らかだ。1960年代に造成された大規模団地やニュータウンの多くは、現在、深刻な高齢化問題に直面している。これらの地域では、当初は若い世代が流入し急激な人口増を経験したが、子ども世代が成長すると同時に地域外への流出が始まり、結果として急速な高齢化が進んだ。流山市も、ここ数年のうちに同様の問題に直面する可能性が高い。

 流山市がこれまで実現してきた「住みたくなる街」というブランドイメージは、確かに大きな成功だった。しかし、このイメージと施策が今後も効果を上げていくかどうかは、今後の人口流出を抑制し、持続的な発展を実現できるかにかかっている。

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