秋の京都も観光公害!“手ぶらバス”運行開始も、旅行者「ガン無視」のお寒い現実 タクシー運転手は「荷物もう積めない」と苦笑い

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秋の行楽シーズンを迎えた京都市では、観光客が集中する東山地区で観光公害対策が相次いで打ち出された。これらの対策は、路線バスの車内の混雑を解消し、渋滞を緩和することを目的としている。しかし、果たしてこれらの対策が効果を発揮するのだろうか。

初京都の外国人が清水寺に殺到

観光のマイカーを先頭に長い渋滞が続く清水坂(画像:高田泰)
観光のマイカーを先頭に長い渋滞が続く清水坂(画像:高田泰)

 市がまとめた2023年京都観光総合調査によると、観光客総数はコロナ禍前の2019年より6.0%少ない5028万人だったが、宿泊客は2019年を12.0%上回る1475万人に達した。特に外国人は2019年比41.0%の大幅増。しかも、外国人の73.3%が初めての京都旅行で、訪問先は清水寺が66.6%で最も多かった。

 2024年は年初から円安が続き、一時は1ドル160円台を記録した。これを受け、欧米などから初めて京都を旅行する観光客が増え、清水寺など定番の人気観光地を訪れる傾向がより強くなっている。

 対策としては路線バスの思い切った増便が考えられるが、京都市交通局が9月末、市バスの非常事態宣言を出すなど運転士不足が加速し、思うような増便は難しい。ハンズフリーバス運行やマイカー禁止など可能な範囲の施策で対処せざるを得ないのが実態だ。

 円安はやや落ち着きを取り戻しつつあるが、日本と欧米諸国の収入格差が広がり、安く旅行できる京都への注目が高まっているという。京都駅前の大手旅行代理店は

「今の状態なら当分、訪日客が京都へ押し寄せるのでないか」

と見ている。問題の根源は

「清水寺への観光客一極集中」

にある。市は観光客の分散を図るため、府と連携して府内周遊ツアーの開発を進めている。しかし、訪日客の多くは観光パンフレットやインターネットで見た清水寺に魅了されて東山を目指している。名前も知らない観光地へ誘導するのは簡単でない。

 東山区にも“住民の暮らし”がある。清水寺周辺の観光公害緩和は急ぎ対処しなければならない課題だが、市が打ち出せる手は限られている。

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