環状道路はなぜ「環状」になっているのか? 都心と郊外を結ぶ、設計の意外な謎に迫る。
各地へのアクセスの向上
環状道路の存在によって、各地へのアクセスが大幅に向上する。特に、郊外から郊外や都市圏外への移動がスムーズになるといえる。
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例えば、中央道沿いの八王子からアクセスする場合、環状道路である圏央道の開通により、東名、関越道、東北自動車道(東北道)へのアクセスが非常にしやすくなった。その結果、次のような行き先へのアクセスも容易になった。
・東名から静岡/名古屋方面
・関越道から群馬/新潟方面
・東北道から栃木/福島方面
このように、環状道路の開通によって相乗効果が生まれている。私自身も、圏央道を頻繁に利用しており、名古屋や大阪、仙台などによく訪れている。
環状道路を利用することで、ドライバーの行き先の選択肢が増えるのは大きなメリットだ。また、環状道路は日本の交通社会をより活発化させる役割も果たしている。
緊急時の避難経路
日本は、地震や津波、火山、台風、豪雨、豪雪など、世界的に見ても災害の多い国だ。そのため、さまざまな災害に備え、身を守ることが求められる。道路もその重要な役割を担っており、環状道路は災害時の迂回ルートとして非常に効果的だ。
災害が発生した場合、最も重要なのは迅速に安全な地域へ避難することだ。突然の通行止めが発生した場合でも、環状道路を利用することで、避難が可能になる。特に近年では交通のリダンダンシー、つまり交通ネットワークの多重化や迂回路の確保が重要視されている。首都圏でも高速道路ネットワークの強化が進められている。
例えば、東名と東京都心を結ぶルートは、2012(平成24)年4月の時点で5ルートしかなかったが、中央環状、外環道、圏央道の開通により、2018年6月には208ルートに増加した。今後、未開通部分が開通すれば、
「1470ルート」
にまで増えると予想されており、環状道路の影響の大きさがわかる。