EV販売「44%減」の衝撃! 結局“補助金”がないと売れないのか? 欧州8月の厳しい現実、自動車全体で「2割減」という更なる懸念も

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欧州自動車市場では、8月のEVの販売台数が前年比で43.9%減少し、全体としては18.3%の減少を記録した。特にドイツでは、EVの販売が68.8%も減少しており、これは補助金の終了が影響していると考えられている。また、全体の販売台数は14.5万台減少し、HVだけが唯一の成長を見せている状況だ。そのため、EUはフリート規制の緩和を求めている。景気不安も影響しているようで、今後の販売回復は厳しいと見られている。

自動車業界救済策の模索

二酸化炭素排出量のイメージ(画像:写真AC)
二酸化炭素排出量のイメージ(画像:写真AC)

 自動車販売の落ち込みを受けて、

・フリート規制の緩和
・EV購入補助金

といった対策が求められている。ACEAは、自動車販売の激しい落ち込みを受けて、緊急の救済措置としてフリート規制の緩和をEU委員会に要望している。フリート規制とは、自動車会社が生産する車が排出する

「CO2の平均値に対する制限」

である。製造している全ての自動車の仕様を基にメーカーごとに算出し、現在は1kmあたり平均115.1gであるが、

・2025年:93.6g(約19%減)
・2030年:49.5g(約57%減)

まで引き下げられる予定だ。自動車メーカーは、フリート規制を満たすように商品構成を見直さなければならない。

 もちろん規制値を超えると違反となり、自動車メーカーは高額な罰金を払うこととなる。自動車メーカーによっては、規制をクリアするために不必要な減産を行い、

「大量の失業者」

が出る可能性があると懸念されている。フリート規制だけでなく、EU内での新しい排出基準で、特に新車の自動車に対する環境規制を強化することを目的とした「ユーロ7」など、自動車メーカーに過大な投資を押し付けており、

 昨今のEU委員会の自動車業界に対する規制が厳しすぎるという意見もまだくすぶっている。一方で、一部の専門家のなかには、

「EVが売れないのは値段が高すぎるからであり、フリート規制が強化されることで格安なEVが増え、EVの販売が回復する」

という楽観的な意見もある。

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