首都高トラックの「車線ふさぎ」動画炎上! ドライバーの勤務先を激しく罵る「正義の味方」は、中小企業のSNS被害を想像できないのか?

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先日、トラックドライバーによるあおり運転が問題になった。この事案に対して、当人だけでなく運送会社にも厳しい批判がSNSに多く寄せられた。しかし、会社は従業員の不祥事に対してどこまで責任を負うべきなのだろうか。

不寛容なSNSが生んだ悲劇

物流トラック。画像はイメージ(画像:写真AC)
物流トラック。画像はイメージ(画像:写真AC)

 情報拡散手段が新聞や雑誌、ラジオ、テレビなどのメディア中心だった時代には、ある程度のルールが存在していた。しかし、今やSNSが普及したことで、「言論の自由」が悪く解釈され、暴力的な発言が氾濫している。

 SNS論について語り始めるとキリがないが、筆者が考える最大の課題は、他者の発言や考え方への敬意が欠けており、

「自分の主張を絶対的なものとみなす」

ことだ。他者とのコミュニケーションには、常に

・認知限界
・限定合理性

の壁が立ちはだかる。人それぞれ知識や理解には差があり(認知限界)、また、立場や環境によって正しいと考える行動も異なる。残念なことに、人はすべての人の立場を公正に考慮することができず、自分自身にとっての最適解を世の中の最適解だと誤解しがちだ(限定合理性)。だからこそ、他者の意見にも耳を傾け、

「自分の考えには誤りや、誰かを傷つける要素があるかもしれない」

と慎重になることが大切だ。しかしSNSでは、こうした心理的安全装置が機能しない人が一定数存在する。「悪」と判断すれば、徹底的に攻撃する。他者と異なる考えを持つ人に対しては、どんな理由をつけてもたたく。自分の

・弱さ
・矛盾

を認められない人ほど、他者を攻撃する傾向が強いと感じるのは筆者だけだろうか。

 厄介なのは、こうした「尖った」や「偏った」人々にインフルエンサーとしての影響力が与えられてしまうSNSの特性だ。今回の事案では、

「だからトラックドライバーは……」
「やっぱり運送業界はダメだよね」

といった差別的な投稿をする人もいる。現在、ドライバーは約86万人いるが、もし今回の事件がドライバーという職業や運送業界が引き起こした必然であれば、同様の事案がもっと多く発生しているはずだ。そんな簡単なことに気づかず、

・暴力的
・差別的

な発言をSNSに垂れ流す人々の存在が、中小の運送会社にとって大きな経営リスクになっている。

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