ネットの嫌われ者「電動キックボード」 しかし、その普及には大きな意味があった! ヒントは「自転車レーン」だ

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自転車レーンでの競争が人類社会の進化につながるという研究が発表された。マイクロモビリティは自動車の代替手段として注目を集めている。イタリアの研究によれば、自動車移動の31%をマイクロモビリティに置き換えることで、炭素排出量を21%削減できるとのことだ。進化論が交通手段に影響を与えるなか、持続可能な都市を目指す動きが進んでいる。

3割がマイクロモビリティに代替可

論文「Assessing potential sustainability benefits of micromobility: a new data driven approach(マイクロモビリティの潜在的な持続可能性のメリットを評価する:新しいデータ主導のアプローチ)」(画像:European Transport Research Review)
論文「Assessing potential sustainability benefits of micromobility: a new data driven approach(マイクロモビリティの潜在的な持続可能性のメリットを評価する:新しいデータ主導のアプローチ)」(画像:European Transport Research Review)

 マイクロモビリティの普及は、人類の進化に寄与する可能性がある。しかし、実際には現在の自動車利用のどの程度をマイクロモビリティに転換できるのか、現実的に考える必要がある。

 イタリアのローマ・トルヴェルガタ大学とメッシーナ大学の合同研究チームが、2024年4月に「European Transport Research Review」で発表した研究によると、イタリア南部のプーリア州トラーニ市の交通実態を詳細に分析した結果、

「自動車での移動の31%」

をマイクロモビリティに置き換えることが可能であり、その場合、自家用車からの炭素総排出量の21%を削減できることが報告されている。

 この研究で用いられた方法論はパラメトリック(parametric)であり、世界各地の都市にも適用できるとされている。これを踏まえると、日本の都市部でもこの数字が参考になるかもしれない。

“車社会”の郊外では、自動車が生活必需品になっており、マイクロモビリティへの代替は容易ではない。しかし、各移動のタイプを考慮すれば、意外にもマイクロモビリティで代替できる移動が存在する。

 例えば、コンビニエンスストアへの訪問では、数キロ程度の距離でも買い物の量が少なければ、雨が降っていなければ自転車やマイクロモビリティでの移動が問題ないだろう。郊外での生活では、自動車通勤以外の選択肢がないことが多いが、日常生活のなかで自動車を使わずに済むケースもあるかもしれない。

 また、マイクロモビリティの普及によって今後バッテリー技術が進歩すれば、今まで自転車や徒歩を利用していた人々がマイクロモビリティを利用し始める可能性もある。

 自転車や徒歩が主な移動手段だった人がマイクロモビリティを利用し始めると、社会全体のエネルギー消費が増加するかもしれない。しかし、自動車からマイクロモビリティに転換することで、大幅に減少するエネルギー消費を考慮すれば、その影響は大きな問題にはならないかもしれない。

 いずれにしても、これに関する興味深い研究が続々と発表されている。

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