北海道と本州の「この場所」に、なぜ橋を作らないのか?

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津軽海峡の道路接続は地域経済にとって重要な「ミッシングリンク」だ。青森県の試算によれば、津軽海峡の道路接続が実現すれば年間1兆5000億円の経済波及効果が期待できるという。

第2構想に動いた北海道

青函トンネルを出るはやぶさ号(画像:写真AC)
青函トンネルを出るはやぶさ号(画像:写真AC)

 津軽海峡の道路接続は一度は頓挫したかに見えたが、新たな形で復活した。それが「第2青函トンネル」構想だ。

 今度は北海道側が積極的で、計画が話題になったのは2010年代に入ってからだ。例えば、2014(平成26)年には北海道商工会議所連合会が、本州との物流網を強化するために自動車専用の第2青函トンネル建設を提言している。

 これまでに、いくつかの具体的なトンネル構想が発表されている。2017年には、日本プロジェクト産業協議会が「青函マルチトンネル構想」を提唱し、

・無人自動運転車専用の道路
・カートレインやJR貨物列車が走行できる線路

を併設する案が出された。さらに、2019年には第二青函多用途トンネル構想研究会が、有人運転の自動車も走行できるプランを発表している。

 第2青函トンネル構想が注目される背景には、現状の青函トンネルの問題がある。現在のトンネルは北海道新幹線と貨物列車が共用しており、すれ違う貨物列車の安全確保のため、新幹線の最高速度が時速160kmに制限されている。

 このため、将来的に北海道新幹線が延伸される際、JR北海道は東京~札幌間を4時間半で結ぶ目標を掲げており、貨物列車の運行本数が削減される可能性が取り沙汰されている。実際、2020年以降、JR北海道は年末年始や大型連休に貨物列車の運行本数を減らし、新幹線を時速210kmで走行させる試験運用を行っている。

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