転生したら「宇都宮LRT」だった件

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2023年8月26日に開業した吾輩は、宇都宮駅と芳賀・高根沢工業団地を結ぶ約15kmの新しい路線だ。移動時間は44分で快適に過ごせる。全ての車両は低床設計になっており、2024年9月には利用者数が500万人を超えた。67パーミルの急勾配にも対応していて、今後は自動運転やバッテリー駆動の導入も期待されている。地域の交通インフラとして、さらに成長していくことが望まれている。

残された革新テーマは自動運転とバッテリー駆動

芳賀・宇都宮LRT(画像:写真AC)
芳賀・宇都宮LRT(画像:写真AC)

 2024年9月13日には、累計利用者数が500万人に到達した。想定より3か月も前倒しして達成できたのは、利用者の皆さまのおかげといえよう。

 今後は、県庁や繁華街のある駅の西側に延伸する計画があり、実現したあかつきには、ますます便利になるだろう。なお、JR線を越える際の急勾配を想定して、軌道建設規定の再急勾配67パーミル(1000m進むと67m上がる勾配)まで吾輩は対応している。

 車両としての吾輩がさらに進化するとすれば、

・自動運転
・バッテリー駆動/燃料電池駆動

かもしれない。今や路線バスが自動運転している時代であり、加減速の操作のみのLRTは、技術的には自動運転のハードルは低いと思われる。

 しかしながら、一般車両と道路を併用している区間もあり、異常時対応を考えると乗務員なしは難しいのかもしれない。もうひとつのバッテリー駆動や燃料電池駆動は、

「架線が不要」

となる分、空間がスッキリするほか、架線のメンテナンスが不要となるメリットがある。バッテリー駆動や燃料電池駆動は、吾輩ではなく次の世代のLRTの姿だろう。

 高度に発達した自動車社会にあって、新しく誕生した吾輩。わずか1年で、必要不可欠なインフラとして街になじんできてうれしいかぎりだ。経済性も満たしつつ地域の足として機能するには、それなりの人口規模が必要であるが、ますますLRTの仲間が増えることを期待してやまない。

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