北陸新幹線「米原ルート」 実は“線路使用料”も小浜ルートより安くなるって、マジ?
北陸新幹線の米原ルートは、多くの利点を持っている。所要時間が1分短縮され、料金も130円安く設定されている。また、費用便益比は1.3以上である。維持費は年間26.5億円と試算されており、地域への負担も考慮しなければならない。今後の整備は他のプロジェクトにも影響を与える可能性があるため、透明性のある議論が必要だ。
根元利益の再配分

さらにいえば、鉄道業界には「根元利益」という考え方があり、これを利用して根元区間の自治体の負担を軽減できるかもしれない。この根元利益という概念は、
「ネットワークビジネスのビジネスモデル」
に似ている(決して悪い意味ではない)。具体的には、友人を誘ってネットワークを広げ、ビジネスを構築することで、中心的なポジションを確立した人が得られる利益という仕組みだ。東京などの大都市圏への直通サービスや速達性の付加価値があるため、大都市寄りの区間の鉄道事業者は、ネットワークの奥の方の区間の集客に貢献できる。その結果、これらの事業者は通過利用によって収益を得やすくなる。
これが根元利益の考え方だ。JRはネットワーク上の根元区間が開通することによって、根元利益を得ることができる。そのため、根元区間の自治体の負担軽減分を考慮し、JRの根元区間の線路使用料を高めに設定するのも、応益負担を実現する手段のひとつとなる可能性がある。
すでに北陸新幹線もJR西日本の区間より東京に近いJR東日本の区間の方が線路使用料のキロ単価が高めになっている他、北海道新幹線の線路使用料はその95%を、JR東日本の営業区間でないにも関わらず、東京直通による根元利益を理由にJR東日本が負担している(梅原淳「北海道新幹線、貸付料はJR東日本が実質救済」東洋経済オンライン、2016年3月26日配信)。
JRが負担している根元利益を根拠に、根元区間の自治体の負担割合を見直すことはできないだろうか。