北陸新幹線「米原ルート」 実は“線路使用料”も小浜ルートより安くなるって、マジ?
北陸新幹線の米原ルートは、多くの利点を持っている。所要時間が1分短縮され、料金も130円安く設定されている。また、費用便益比は1.3以上である。維持費は年間26.5億円と試算されており、地域への負担も考慮しなければならない。今後の整備は他のプロジェクトにも影響を与える可能性があるため、透明性のある議論が必要だ。
直通受け入れで年間150億円の粗利

これに対し、北陸新幹線の敦賀~金沢間(125.1km)の線路使用料は、受益に応じた負担で年間93億円、1kmあたり7434万円だ。一方で、整備新幹線の線路使用料は、大都市圏に近い区間が「根元利益」が高いとされ、その分高くなる傾向がある。
同じ北陸新幹線でも、長野~高崎間(117.4km)では年間175億円、1kmあたり1.5億円と倍の金額になっている。このことから、東海道新幹線の線路使用料は、たとえJR東海が粗利を上乗せして請求しても、比較的割安といえるだろう。
さて、前回の記事に対して、
「JR東海に支払う線路使用料が上乗せされるのに、こんなに都合のよい価格になるわけがない」
という批判が多く寄せられた。しかし、現時点での最低金額がこれであり、よほどの粗利を上乗せしない限り、整備新幹線並みの料金にはならない。むしろ、この金額が料金を引き下げる動機になる可能性がある。
もし東海道新幹線の米原~新大阪直通による社会的効果を考慮し、純利益を含めて計算するなら、東海道新幹線内の線路使用料も受益に応じたものにするべきだ。例えば、長野~高崎間に倣って年間175億円とすれば、JR東海は北陸新幹線の直通受け入れで年間150億円もの粗利を得られる可能性がある。
ただし、線路使用料の算定が難しいという意見もある。交通評論家の佐藤信之氏は、
「特に東海道新幹線は、所有が何度か変わっていますので、資本費の計算が難しい。資本費は減価償却費+利子なのですが、JR東海は今後も新幹線施設の購入費を機構に支払い続けます。また、大規模修繕の費用の配分の問題もあります」
と述べている。