北陸新幹線「米原ルート」 実は“線路使用料”も小浜ルートより安くなるって、マジ?

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北陸新幹線の米原ルートは、多くの利点を持っている。所要時間が1分短縮され、料金も130円安く設定されている。また、費用便益比は1.3以上である。維持費は年間26.5億円と試算されており、地域への負担も考慮しなければならない。今後の整備は他のプロジェクトにも影響を与える可能性があるため、透明性のある議論が必要だ。

新大阪~米原間の線路使用料

北陸新幹線(画像:写真AC)
北陸新幹線(画像:写真AC)

 まずは、線路を維持するための経費を算出する。今回は、実際の走行によって摩耗する部分や、輸送管理に関連する部分を取り上げて計算する。具体的には、鉄道事業会計規則から選ぶ項目として、

・線路保存費
・電路保存費
・運輸費

の三つが該当する。国土交通省の資料によると、JR東海における新幹線と在来線を合わせた各維持コストは次のとおりである。

1.線路保存費(線路延長3327.7km):753.3億円(1kmあたり2264万円)
2.電路保存費(電車線延長3460.7km):515.6億円(1kmあたり1490万円)
3.運輸費(営業キロ1970.8km):282.5億円(1kmあたり1433万円)
※停車場、信号場などの経費。指令員の費用はこちらに含まれると思われる。

これらkm単価を線路・電路延長にかけて(運輸費は営業キロにかけて)算出すると

1.新大阪~米原間上下線本線合計213.4km
2.新大阪~鳥飼車両基地間線増分上下線計20km
3.駅部副本線1番線につき0.5km加算・計8km
※米原駅のみ1km加算とする。

・新大阪駅副本線6本=3km
・京都駅副本線2本=1km
・米原駅副本線4本=4km

・線路・電路延長合計:241.4km
・線路保存費:54億6530万円
・電路保存費:35億9686万円
・営業キロ:106.7km
・運輸費:15億2901万円
・総計105.9億円

である。続いて線路使用料は1時間あたり最大本数で、両数ベースで分けるなら、

・東海道15本×16両=240両/時=100%
・北陸5本×12両=60両/時=25%
・合計20本・300両/時=125%

なので、JR西日本は、現在の線路保守コストに加えて、少なくとも25%分を負担すればいい。つまり、年間の線路使用料は最低でも26.5億円になると考えられる。営業キロ1kmあたり

「約0.25億円」

といったところだ。

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